最後の宦官 李連英と西太后【字幕版】 [VHS]
劉暁慶は、御存知「西太后」「続・西太后」で宮女から清朝皇帝の側室になり皇子を産み、皇帝亡き後実子をロボットにし、権力を握っていく女帝として描かれています。この「最後の宦官〜」の作品で、西太后の死までを描いており、その側近として影のように仕えた宦官、李連英とのストーリーです。白髪頭で最後はまだらぼけになってしまう西太后演じる劉暁慶は大迫力。さすが実力派と頭が下がります。しかし相手役李連英演じる姜文も負けていない。西太后の寵愛を受けながらも、宦官である悲しみを、哀愁をさえ感じさえる演技は大したものです。そしてこの作品では、「珍妃の井戸」で有名な、珍妃が、西太后の命令で、井戸にずっぽり逆さに入れられ殺害されるシーンもバッチリ描いてあります。この話は有名なわりに描いている作品があまり無いので、興味の有る方は必見です。怖いですよ〜。
劉暁慶と姜文はこの時恋愛関係でした。そんなことも頭に入れて観ると面白いかも。最後、まだらぼけになってしまい、宮廷の中をさまよう西太后を背負って李連英が彼女を慰めるシーンは、権力と富を握って登りつめた二人の、なんともいえない凋落振りをあらわし、しみじみ味のあるシーンに作られています。こういう作品こそ、「劉暁慶主演・西太后セット」DVDにでもしてくれればいいのにね。(ボソ)
西太后―大清帝国最後の光芒 (中公新書)
好事家と共産中国の操作によって「悪の権化」「清を滅ぼした贅沢劣女」といったイメージをつけられた西太后だが、本書はそういったエログロな先入観を排除して、いったい実際の西太后はどういった人物だったのかを考察している。多くの資料を丹念に研究し、中国の歴代王朝は大まかに漢、満、蒙(モンゴル)が順番に政権をとってきたこと、ひとつの王朝の平均寿命は総じて200年前後であることをあげて、西太后が政権をとったときは、既に清朝は瀕死状態であったこと、いつ滅んでもおかしくない疲弊した王朝の寿命を、むしろ西太后が50年長引かせたのである、という解釈に及んでいる。人間としての西太后の長所短所、および政治家としての長所と欠点も平等に考察し、非常に中立的な読みやすい文章で書いている。西太后をとりまく皇族たちや官僚たちの思惑も、漢、満、蒙の3民族の構図になぞらえて説明しており、どの人物の考えも人間味あふれていて共感しやすい。
著者の妻は中国人で、生粋の漢民族であるという。著書内では、現代の共産中国が諸々の事情で触れることのない民族的歴史にもチクリと触れている。全体的に内容の濃い、興味をかきたてられる良質な一作である。
蒼穹の昴 DVD-BOX 1
学生時代に浅田先生の小説版を読み、あまりの残酷さに途中で挫折してしまい「蒼穹の昴」はあまりに残酷な物語…という印象で終わっていました。トラウマになるくらい思い出しても泣き出しそうになる酷い歴史と内容を知ったという印象でした。
しかしある時NHKでドラマ化されたということを知り、正直最初は「あんな残酷な話を映像化するなんて何を考えているんだろう?」と驚きました。でも映像化されるにはそれなりの理由があるのだろうという気持ちとひょんな機会から「とても感動する」「生き抜く力をもらった」という小説版への感想があったことから、NHKの映像であればある程度恐ろしい場面は見やすくなっているだろう…と思い、リモコン片手にびくびくしながら見させていただきました。
全話見させていただきましたが…素晴らしいです。
映像でも残酷な部分も色濃く場面に残っていましたが、我慢すれば何とか見れるくらいに抑えられていました。またその場面をカットしてしまうと宦官になること、宦官であることがどれだけ辛いことかが分からないので仕方ないと思いました。
勇気を出して原作もこの機会に読み直させていただきました。
チュンル、文秀、リンリンの兄弟の愛・家族への愛がまずはとても感動しました。チュンルが男を捨てた理由、宦官という最も残酷な道を選んだ理由が素晴らしいです。原作で「何よりも己の貧しさを呪った」とありましたが、まさにその表現が当てはまりました。
しかし、チュンルは男性を捨てたけれども、誰よりも男らしいですね。作品全体を見て深くそう感じました。
文秀はチュンルと母を救えなかった悔やみ、また母の遺言と2人の兄弟を守るため、また己の信念から状元への道を歩んでいきますが、またこの2人の兄弟愛が素晴らしいです。何度も泣ける場面が随所にありました。
チュンルが当時の中国での死後の言い伝えを知りながらも師匠のために自身を犠牲にした場面がありますが…そしてそのために兄さんとはもう生まれ変わっても兄弟になれないと泣く弟を兄の文秀が「じゃあ俺もお前と同じように雌の騾馬にしてもらうよ」という場面は感動の一言に尽きます。
比較させていただくと、他の方も書かれておられますが映像化の方が各個人の人間性がとても素晴らしくなっています。人間の恐ろしさと残酷さを描く一方で、その絆の美しさも描かれていると思いました。
師匠の黒牡丹と安徳海の厳しさと優しさも感動しました。
原作にはなかった表現ですが初めてチュンルが舞台に立つ際に亡くなった師匠が背中を押し出してくれるシーン、また「兄さんが見ていてくれている」という場面は本当に感動しました。
占いについては原作と比較すると白太太の予言は外れた…ということなのかよく分かりませんが、西太后の宝というのが有り余る富に埋もれながらも手にすることの出来ない自由、だったということなのか、それが最も大切な西太后の宝であったという表現なのかな…?と思いました。それを一生懸命尽くしてくれたチュンルに自らの手で贈ったのかという意味かと思います。それが占いの一致なのでしょうか…
チュンル・文秀・リンリン、黒牡丹、安徳海…いろいろな登場人物が出てきますが、原作とはまた印象の違うミセス・チャンとセイインも素敵な女性でした。
宦官というと、己の利しか考えない男でも女でもない、人間ではない汚らしい存在…という歴史があったようですが、そのような人格になってしまっても理由が大きく頷ける内容になっています。
また男を捨てた宦官の仲間がチュンルを通して、また己の信念を通して宮中の陰謀に巻き込まれながらも自分を見失わない場面が素晴らしいです。
実際の西太后がどうであったか…はよく分かりませんが、この作品では当時の中国を取り巻く世界情勢から列強の政治事情により悪女に仕立て上げられたのでは?という憶測があったそうです。チュンルの言う本当に優しいおばあちゃんであれば一時の気まぐれから宦官や女官を棒で叩き殺す、ということはしないでしょうから西太后が本当は悪女ではなかった…ということは何ともいえませんが…。ドラマの各人の台詞にもある通り、チュンルがあまりに慈悲深く、全く穢れのない人間…という人柄なのでチュンルには優しいおばあちゃんに見えたのだと思います。またそういった一面があったのではないかということから、歴史なので実際の人物がよく分かりませんが、別の一面から西太后という人物に興味を持てました。
とにかく登場人物、特にチュンルと文秀の強い絆の兄弟愛・家族愛…。また本当にいろいろな人物の深い愛情が込められている作品でした。
文章にうまく書けないくらいの素晴らしい感動をいただきました。
西太后 (完全版) DVD-BOX
映画、西太后が日本で公開されて20年余、今やっとノーカットのDVDが監督「リー・ハンシャン」DVDBOXとして発売されるのは素直に嬉しい。けれど同時に「何故もっと早くDVD化しなかった?バラ売りで出して欲しかった。」という思いも否めない。
しかし、日本で公開された「西太后」は原作二本分の映画を短縮して一本に公開したという「暴挙」だったので(私はもう英語版でオリジナル観ちゃったけど・・・)これが日本語の字幕付きでやっと観られると言う事は評価に値すると思います。けれどもこれは名前の「西太后」DVDボックスではなく、正確には「ラストエンペラーを描いた「華龍」が入ってのボックスセットなので「リー・ハンシャン」ボックスだと思います。勿論監督の違いでボックスセットにはできなかったのだろうけど、私は是非「田壮壮」監督の「最後の宦官・李蓮英」を、死期を描いた西太后のDVDとして出してもらいたかったので、評価は☆4つにしました。初めてご覧になる方は、とてもお得な見応えのあるボックスセットだと思います。バラ売りがないのはやっぱ不満ですぞ!是非ご一考を。
ラストエンプレス 西太后【字幕版】 [VHS]
内容的には、なまなましい性描写の部分が多すぎかな。衣装とかはかなり鮮やかで、映像的には見ごたえ有り!また、あまり残虐なシーンは出てこないので、見やすいかもしれません。西太后って、どんな人?と思うひとは、これ1本見ればOKかな。