五嶋みどり-アニヴァーサリー・アルバム
思わずため息をついてしまうほどの名演。ヴィエニャフスキのソロ冒頭ですっかり引き込まれてしまう。重苦しく思いつめたような重音の響き、胸が熱くなるほど切なくロマンティックな節回し、何とこの曲にふさわしく絶妙なことかと唸らずにはいられない。その後も昔の壮大な物語のように、息もつかせずドラマティックに展開されていく。後半の小品も慈愛に満ちた美しい演奏。仕事に疲れた金曜の晩などに無性に聴きたくなる。
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
チャイコフスキーとショスタコービッチのヴァイオリン協奏曲の組み合わせのCDは意外と多く出ています。私は他にはLatica Hondaの1枚を持っています。同じロシアの作曲家ですから演奏時間を考えてもカップリングしやすいんでは無いでしょうか。
チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は大好きな曲ですが、五嶋みどりの演奏はとてもすばらしいものです。ライブということもあってか、臨場感にあふれた演奏になっています。
日本人の演奏家としてもトップクラスの位置に今でも存在する彼女ですが、このような演奏やレコーディングを繰り返す事で、今もってその存在感を示しているのだと思います。
とても良い一枚です。
フランク&エルガー:ヴァイオリン・ソナタ
エルガーのソナタは情熱的ながらも幻想的な空気感があり美しい。メロディも美しくわかりやすいソナタなのでもっと人気があっても良いはず。
五嶋みどりは、素晴らしい雄弁さで端正な音楽を展開しながらも、第二楽章では柔らかい空気に満ちた世界をきめ細やかな演奏で表現している。真珠のような美しいヴァイオリンの音に魅了された。エルガーの演奏ではベストの一つだと思う。
一方フランクのソナタでは、五嶋みどりとマクドナルドは構成感を大事にし丁寧に音楽を作り上げている。全体を見通した演奏は好感度は高いが、チョン・キョンファ&ルプーの極めて感度の高い自由闊達な演奏がフランクのソナタが持つ本質的な美しさを大胆に引き出していて自分のベスト。
とは言え、エルガーの演奏だけでも価値ある録音なので、オススメします。ピアノのマクドナルドの演奏は本当に素晴らしいです。
カーネギー・ホール・リサイタル [DVD]
つい最近には、そこで、ハイフェッツが、ラフマニノフが、ルービンシュタインが、演奏した舞台、カーネギーホールで、弱冠18歳の少女が、憂愁に満ちた音色、明るく闊達な音色を、自由に、曲想にあわせて、奏でる巧みさ、奔放さに、敬服する一枚である。しかも、カーネギーホール創立100周年記念行事の一環として、舞台に立ったのであった。その大舞台を、見事にこなし、聴衆を熱狂させた貴重な記録である。視聴しながら、感嘆するばかりであった。
「天才」の育て方 (講談社現代新書)
ヴァイオリニスト五嶋みどりの母が、その育児について語った本。
繰り返し同じ趣旨の話が出ることがある。講演をもとにした文章である
ことが原因だとは思う。
たまたま無料で教えられるもの(バイオリン)を教えたという話が最も
印象的。案外そのようなものなのだろう。家庭環境が子供の行く末に影響
を与えるということがあるが、自分が教えられるもの、そこに子供の運命
(進むべき道)がある場合もあるのだろう。参考になった。