映画で学ぶおしゃれな英語―「タイタニック」から「ミリオンダラー・ベイビー」まで
映画を観て泣いたり笑ったり、感性に新しい刺激を与えることは心の健康として必要だと思います。
また、日本語では表現できないネイティブな英語にはすてきな表現が隠されています。以前、映画館で観たときに俳優がしゃべっていたセリフが、この本を読んで“あぁ、そういうお洒落なことを言っていたのか!”と再発見させられ、ビデオやさんに走らされました。もちろん言語は英語で。
ただ私は白黒の古い映画も好きなので、著者の次の企画に期待します。
ミリオンダラー・ベイビー (ハヤカワ文庫NV)
どんなスポーツにも、その競技特有の美学がある。
特に、ボクシングの持つ、最高に簡潔なまでに切り詰めた中にある戦いの美学は、あまりにも肉体的であるので、実際その世界にいたものでなければ語れないのかもしれない(あるいは、すべてのスポーツはそうなのかもしれないが)。そんな生の言葉がこの本には溢れている。
作者は、前書きにあるように、中年とも言える年齢になってからボクシング界に足を踏み入れ、観客としてではなく実際のファイターとしてその世界を肌で感じた。その中で見てきたものを濃縮し語ったのが、これらの短篇群であり、本を出版したときには既に70歳になっていた。その2年後には逝去しているのだが、まさかその中の1篇がクリント・イーストウッドによって映画化され、主要各賞でオスカーを独占することなど夢にも思わなかっただろう。
その映画化により、この本も多くの読者に読まれることになるだろうか(映画の方は、原作が短篇なので、物足りなく感じさせることはなく、逆に他の短篇のエピソードなど様々なエピソードで肉付けがされた秀逸な映画化となっている)。ありきたりな言葉になってしまうが、人間の尊厳を感じさせる素晴らしい物語たちである。同時に、敗北し転落していく姿を描いた悲しい物語でもある。ボクシングが人生のメタファーたり得るのは、すべてのものが紙一重の中に同時に存在するからなのだろう。
映画に胸打たれたならぜひ読んでいただきたい。ちなみにこの本、以前同じ出版社から「テン・カウント」という題で出ていた短編集が改題され文庫化されたものである。
ミリオンダラー・ベイビー 3-Disc アワード・エディション [DVD]
お話は、前半部分と後半部分に分かれます。
普通だったら、この前半部分で、十分に映画として成立します。
マギーは家がなく、トレーラーで育った、ホワイト・トラッシュで
成功を夢見て、ジムの誰よりも練習します。
実際、彼女の夢であるプロになり成功することはかなえられます。
しかし、ここで終わっていたとしたら、サクセスストーリーのいい映画だけど、
映画史上に残るような、素晴らしい映画にはなれなかったでしょう。
後半部分、これについては、あまりにも意外な結末で
「正直これで良かったのだろうか?」と今日になっても考えてしまいます。
それほど、衝撃的でした。
映画の作りとしては、派手な音楽もなく、CGが多用されているわけでもなく、
奇抜なカメラワークもありません。
でも、人生についてこれほど真面目に考えさせられる映画というのは
ないように思いました。
見に行ったほうが良い映画ではなく、見るべき映画だと思います。
Million Dollar Baby
映画本編はアカデミー賞作品賞をはじめとして4部門受賞で、内容については説明不要だろう。音楽もクリント・イーストウッドが制作しており驚嘆に値する。あのメインテーマの美しい響きに身をゆだねるとき、美しくそして切ないこの映画と一体になれる気がする。
このようなすばらしいサウンドトラックが国内版の半額以下で入手できるのだから、映画に感動したすべての人が購入すべきだろう。
オリジナル・サウンドトラック「ミリオンダラー・ベイビー」
アカデミー賞作品賞をはじめ、主要4部門受賞で話題のこの映画。音楽までもクリント・イーストウッドが担当したことでも注目されているが、イーストウッドはこれまでも「許されざる者」や最近の自作のメインテーマはほとんど作曲していたが、“音楽:クリント・イーストウッド”という名義では初めてじゃないかな。盟友レニー・ニーハウスはコンポーザーとして参加しているはずし、息子のカイルくんも数曲、作曲・演奏に参加していて、イーストウッドをナイス・サポートしている。映画を観終わると、様々な名シーンとともに、メインテーマが耳から離れない。久しぶりのサントラ・リリースで、ファンの方々もお喜びでしょう。当然、ボクもその1人です! それにしても今年75歳、老いてなお進化し続けるイーストウッド御大、恐るべし!