黒笑小説 (集英社文庫)
まずは各編のタイトルを見てびっくり。『巨乳妄想症候群』『インポグラ』『シンデレラ白夜行』…。「ちょっと暴走気味?」との第一印象を受けましたが、『笑うセールスマン』を髣髴とさせるブラックユーモアにあふれる滑稽、意外に奥深い短編の数々でした。
一度の受賞で大物気取りの新人作家、過去の栄光にすがる小説家など「こういう人、いるよね」的な人々の悲劇が描かれており、「自分もこんな風に思われていたら…?」と思わず胸に手を当てたくなります。
あらゆるモノが巨乳に見える病気に罹った男を描いた『巨乳妄想症候群』、逆バイアグラのもたらす新たな社会現象を描いた『インポグラ』では、男の単純な心理が描かれており、思わず苦笑してしまいます。
すでに『白夜行』を読まれた方、『シンデレラ白夜行』は必見です。あの雪穂がシンデレラとして蘇ります。
短編集ということもあり、とても気楽に読めるお勧めの一作です。