北国の街 [DVD]
富島健夫の「雪の記憶」をベースに当時新進気鋭の倉本聰が脚本を書き、
これ以降日活舟木映画を連作した柳瀬観が監督した作品。
もちろん舟木の新曲「北国の街」を映画化するために、「雪の記憶」の各エピソードと
筋書きを大胆に換骨奪胎した内容になっている。
原作では戦後、新学制が敷かれる直前の旧制中学の生徒と女学校の生徒との純愛(おそらく舞台は下関の対岸にある
北九州の海辺の町、玄界灘は山陰の日本海の延長線上にあり雪は珍しくない)として描かれ、
映画は舞台を本当の北国、長野県飯山市に置き換えて、新制の男子高校と女子高校の生徒の物語として描かれた。
言うまでもなく 主人公海彦役の舟木一夫は現在も大活躍しているが、
この映画はこれ以後の「舟木一夫」を決定づけた作品と言っても過言ではない。
この作品でいくつかの見どころをあげるとすれば、ひとつは冒頭のタイトルバックで流れる「北国の街」の主題歌。
レコードとは別録りされたツーコーラスのこの歌声は舟木が一番好きな歌唱法で唄ったったお気に入りのものだと思う。
この幾分そっけない歌い方にこそ舟木歌謡の真髄があるということを感じていただきたい。
ふたつめはいうまでもなく、和泉雅子扮する雪子との手のひらだけで表現した愛の交換のシーン。
誤解を恐れずにいえば、日本映画史上最も美しいラブシーンである。
この名シーンは舟木と和泉のコンビ以外では実現しえなかった。キャメラワークもすばらしい。
他にも、藤田を演じる故山内賢のかっこよさが忘れられない。
好色の里 (集英社文庫)
富島健夫の本は、まだ本屋さんで見ることができます。
川上宗薫や梶山季之、宇能鴻一郎などほかの色っぽい作家たちは、ずいぶん前に見なくなった気がします。
これらの作家たちを比較分析する余裕はありませんが、
富島にはなにかがあり、それは、池波正太郎や吉川英治などにも似た、何かだという勘があります。
『好色の里』もはっきりエロイのですが、さわやかです。
女性にススメてみたところ好評でした。
もしかしたら、中年の恋愛と性愛をえがいたマンガ『黄昏流星群』の元ネタになっているかもしれません。
本宮マンガをよんでいてもよく富島健夫を思い出します。
パクラレるって、作家の勲章ですよね。