楽園通信社綺談 (キュンコミックス)
ホビージャパン「コミックマスター」8~24号('92/5~'94/9)に連載された本編と
著者の初期作品3本を収録している。
なんでもありの不思議都市ヘヴンに配属された新聞記者メイウルフ、
彼女と彼女をとりまく、これまた不可思議な現象とキャラクターが
右往左往するおはなし。
当世界の雰囲気に馴染むまではわからないことも多いが、
12頁ごとの一話完結で進んでいく物語はテンポよく進み、
笑いどころは「可笑しい」というより「おかしい」。
この奇妙な街、ヘヴンを奴らと友に散策するつもりで
のったらくったら浸ることをオススメ。
ビブリオテーク・リヴ (キュンコミックス)
ホビージャパン「コミックマスター」に連載されたていた作品。
B5版でカラー頁もそのまま収録。
前作「楽園通信社綺談」と同じ世界にある巨大図書館のおはなし。
主人公は館長のニコと司書のアンドロイドメイド、ショーシャ606。
ニコが副業で魔法少女やってたり、ショーシャのお姉さんが外宇宙探査やってたり
図書館内で遭難して妖怪に襲われたりと、あんまり普通の図書館ではありません。
前作よりさらにきれいで分かりやすく面白く、ヘヴンの雰囲気を堪能できます。
セミの魂と契約して外灯に明かりをともすお話や
風景を閉じ込めてアメ玉を作るお話なんて秀逸です。
あと、この著者の描く妖怪と建造物はとても面白いですよ。
月刊 コミック@バンチ 2012年 02月号 [雑誌]
巻頭は井上淳哉氏のバトルロワイヤル風爆殺ゲームを描いた漫画「BTOOOM !」とその人気ヒロイン、HIMIKOのカラーグラビア風イラスト4Pです。
殺し合いがアクション・ゲーム感覚で流麗に描かれて居ます。
ギャグ漫画家の奇才おおひなたごう氏がゲスト読切「ハマショー」で登場。
連載陣では久正人氏「エリア51」が季節に有ったネタで楽しく、あとがき頁では石堂叔郎氏、市川森一氏、内山まもる氏と円谷プロの作品に関わった今年の物故者に追悼の意を表しています。
中島三千恒氏「軍靴のバルツァーは12Pに減頁で外伝を。19世紀半ばの珍しい西欧売春宿事情を描いて居ます。
コースケ氏「GANGSTA.」は過去に遡って主人公達の馴れ染めと本作独特の能力者「黄昏(トワイライト)」出現の理由が語られて居ます。
他では、吉本浩二氏の被災地応援漫画「さんてつ」、神崎裕也氏の仕置人物「ウロボロス」、藤栄道彦氏のSF歴史グルメ漫画「最後のレストラン」、読めない様にホチキスで留めてしまいたい漫F画太郎氏「罪と罰」、安田弘之氏「寿司ガール」、ネグレクトされた魂が軋むSFアクション井田ヒロト氏「誰かカフカを守って」、中村珍氏のケチでは片付けられない業深さが面白い『アヴァール戦記』、ブラコンのお姉さんが妖怪化している青稀シン氏「あねちゅう!」、格差社会の隠喩か?淡泊な絵だが微妙に怖い今井大輔氏「ヒル」、浅田有皆氏の濃いバンド漫画「ウッドストック」等が印象に残ります。
うめ氏、吉川景都氏、水あさと氏、高槻ナギー氏、青木俊直氏、佐藤明機氏、そして鈴木志保氏の様々なタッチで描かれる可愛い女の子や生き物達にも癒されます(ナギー氏はちょっと変ですが)。
紀行物か自分探し物か分類が難しく繊細で曖昧な感じが気になっていたancou氏の「Naviko」が最終回。
今月はカサハラテツロー氏「ザッド・ランナー」と松本次郎氏「女子攻兵」がお休みでした。