死せる花嫁への愛―死体と暮らしたある医師の真実
「7年間死体と暮らした医者」というのに興味を覚えて読みました。ですが、下世話な興味以上に出来事としての興味深さに徐々に惹かれて読み進みました。
淡々と事実をなぞっている感じで妙な汚らしさはありません。押さえた筆致で、でも多分医者にかなり好意に近い興味を持って書かれています。それ以前の人生もできうる限り丁寧に追われています。資料も豊富で、発見当時の遺体や、彼女(エレナ)の生前の写真なども見ることができます。
医者というより医学的知識のある人って感じでしたが。伯爵を名乗ってますので以下伯爵と書きます。
伯爵は自分の能力をフルに使い、エレナとの愛を至高のものだと謳いあげました。でもそれは彼がひとりで言ったことだと思うのです。エレナは本当にそんなの許したんでしょうか。私はなんだかエレナの姉の拒絶のほうに共感しました。もともとネクロフィリアなところもあったんでしょうけれども、多分もっと伯爵は夢に酔うタイプで、エレナという格好の材料を与えられたことによりずれていったのだとそう思います。愛ゆえというよりは。
異常な事件ではなく、日常からちょっとずれたところにある。そんな印象で、ここまで引き寄せて書かれた著者の努力に感服しました。
外科の夜明け―防腐法 絶対死からの解放 (地球人ライブラリー)
まだ麻酔も防腐法も発達していない時代に繰り広げられた、医者と患者の苦しみや喜びがこの一冊の本にびっしりとつまっています!
まるで自分がその時代に行って、目の前でその現場を目撃したかのように、生き生きと人物などがえがかれています。今では当たり前のように行われて、多くの人の命を救っているような治療でも、その背景にはいろいろな歴史があり、医療の進歩のために懸命に戦う人々の姿には非常に感動を覚えます!!ぜひ読んでみてください!!