彼女
「キラキラ」はいつものDr佐野康男、Bassスティング宮本、Guitar狩野良昭に島田昌典のアレンジに支えられて、aikoの美メロが冴え渡る名曲ですね。何度も聞いても心が洗われるというか、胸キュン(死語)ソングです!
ただ、アルバム全体としてはどうなんでしょう、ホーン入れてみたりスカ風にしたりなど色々な試みをしてはいますが、「暁のラブレター」以降、安全志向というか、aikoブランド(=高品質な楽曲・アレンジ)があまりにも完璧になりすぎたため、冒険的なことができなくなっているような気がします。本人の楽曲作りも結構煮詰まっているのかなあ?コード進行似ている曲多いよね。アレンジもaiko楽曲・定番のパターンを何度も使いまわしているような気がします。いくら彼女が天才とはいえ、年間シングル3〜4枚、アルバム1枚のペースをこなしていくのは大変そうですね。もはやJ-POP界最大の才人なんだから、ゆっくり休ませてあげたいです。本人サービス過剰な人だから余計にそう思います。
tactics 14 (マッグガーデンコミックス アヴァルスシリーズ)
ずっと絵の劣化に唸りながら読み進めていたのですが、ここにきて木下さくら先生、だいふっかーつ!でとても嬉しかったです。
ストーリー的には特に文句なしだったので。
ずっと気になっていた絵柄が元に戻りつつあって安心しました。
けど東山先生はまだ本調子じゃないのかな…?扉の頼光様が別人で少し残念です。
このまま連載初期の綺麗な絵柄に戻ってくれたらうれしいなぁと思いつつ。星4つ!
檸檬 (新潮文庫)
「・・・何故だかその頃私はみすぼらしいものに強くひきつけられたのを覚えている。壊れかかった街だとか・・・土塀が崩れていたり、家並が傾きかかっていたり・・・時とするとびっくりする様な向日葵があったり。」
数年ぶりに檸檬を読んでみた。すると、まぶたの裏にその情景がありありと浮かんでくる。口の中のびいどろの味も、画集をめくる疲れも感じながら、一人とぼとぼ歩いている様な一人称の視点。しかし、世界は爽やかで澄み切っている。それは、個々の「私」がつくっていくものだから。
世界中の人々は、二人称でも三人称でもない、魂を持った個人なのだ、と思わせてくれる。この壊れかかった街並みは、「私」の心だろうか?それとも崩れてゆこうとする物理的な物質だろうか?全てはアンバランスな調和で爪先立ちしている。一見、シュールなようだが、暗部をさらけてはいない。
この肺病持ちの作者の瞳は美を捕まえる事に関しては、指折りだとしか言い様がない。それは、もちろん彼の闘病生活者としての内面的な眼差しもある事だろう。けれども、この両目に映る風景が消えてしまっても何程の事があるだろうか?檸檬の世界は永遠なのだ。街並みと丸善という対極的な場も、焦燥と享楽も、並行感覚を伴って、同一の世界に鎮座している。作者も、そして読んでいる私達一人一人も、この道のりの旅人でしかなく、またそうであるが故に、澄んだ空気を肺に取り入れながらどこまでも歩いてゆける。
そうすればやがて見えてくる、びっくりする様な向日葵達が咲き誇っているのを。