運動靴と赤い金魚 [DVD]
イランの映画産業の現状など知る由もなく、また規制が厳しく経済的にも日本にはるか劣る国の映画なんて勝手な偏見を持っていた自分が恥ずかしい。家庭は新しい靴を買ってくれるほど裕福でもなく、考えた兄は自分の靴を妹と交代に履いて変わりばんこに学校へ行けばいいのではないのか。妹はまだ小さいからどんなに走っても間に合わないの、だから兄も学校へ遅刻してしまう。でも毎日やっていると何とか間に合うようになってくる。妹には大きすぎるボロのきた靴を履いて、学校が終わってから必死になって家に走って帰る。そんなときマラソン大会の3位の賞品が新しい靴であることを知った兄は、妹のためにどうしてもプレゼントしたくなる。先生に出場の意思を伝えるけど出場者のメンバーは決まってしまったと伝えられた兄は、どうしていいかわからず涙ながしながら「出場できたら必ず活躍します。何がなんでも走って優勝します」と、必死に懇願する兄に思わず目頭が熱くなってしまう。マラソン大会に出場できることになった兄、他の子供は真新しい靴で気合を入れていますが自分の靴はボロ靴。でもそんなこと気にしていられない、なぜなら可愛い妹のための靴がかかっているのだから。走るしかない負けるわけにはいかない。妹に3位の賞品の靴をプレゼントしたい。その一心で走ります心臓は苦しくなっても走るしかないんです。普段喧嘩したりするけど今がんばってる兄をけなげな妹も応援しています。靴なんて古くなったら捨ててしまう日本人が見ても、応援してしまうんです。がんばれがんばれって。兄妹の可愛らしくいじらしく健気な愛に涙を誘わずにはいられません。映画を見終わった後はなにか幸せでやさしい気持ちになれます。
運動靴と赤い金魚【字幕版】 [VHS]
この映画を見た。そして自分が子供だったときを思い出した。
今(つまりは大人)の視点から見たらたいしたことではなかった
ことが、どれほど自分の世界の大部分を占めていたんだろうか。
この映画の舞台はとても狭いし、派手な出来事もない。つらいこと
もあるけど、淡々とした生活にちょっとした事件しか描かれない。
でも大きな人間劇がある。特徴をいうのは難しいけど、じわじわ
した面白さとでもいうものを持っている作品。
ところで、この映画の原題は"Bachcheha-ye asman"、日本語に
訳せば「空の子供たち」とでもなるんだろうか。これはマラソン大
会に出場する子供たちのことを指しているんだろうか。ちょっとわ
かりませんが、個人的には日本語の題名のほうがいいと思います。
運動靴と赤い金魚【日本語吹替版】 [VHS]
小学生のアリ少年、小柄でちょっと困った顔が印象的、貧しい家計を助けながらの通学、ぼろぼろの捨ててしまうかと思うような何度も修理されたであろう妹の靴をまた修理、それを取りに行き、うっかり通りすがりの廃品回収のおじさんが持っていってしまった事に気が付かず、あわてふためき寄った八百屋で大捜し、そこいらの売り物をばらまいてしまう動揺ぶりに胸が痛みます。それほど貴重な靴、それほど貧しいのです。お父さんに叱られまいと自分のこれまたぼろぼろの穴あきの運動靴を妹とかわりばんこに履いて通学、お兄ちゃんかばってる小さな妹がとっても健気です。(私やったら、とっくに言いつけて兄弟大喧嘩やっちゅうの・・・その前に靴が1足しかないなんてことが有り得ない日本・・・)ぶかぶかの兄ちゃんの運動靴で体育の授業での走り幅跳びは涙が出ます・・・。無くなったと思った靴は同じ学校の女の子が履いていました、妹はその子が自分達よりもっと貧しかったから、黙っていてあげたのでした・・・小さな子供なのに思いやりにあふれています。お兄ちゃんはマラソン3等賞の商品の運動靴のために頑張ります。マラソンの練習もとっても苦労します。こんな子供たちに気が付かないほど両親は貧乏暇なしの忙しさ・・・。子供も親を気遣い、言い出せません。
ラストの妹の笑顔と鮮やかな赤い金魚が焼き付いています。まだ履けるけど新しい靴買いたいわ〜なんて言っているあなた!(私やって・・・)この映画を見たらそんなこと言ってられないでしょう、要らない買い物せずにすみます。今ある自分の豊かさに感謝し、心の豊かさの大切さを改めて感じた作品です。
家族皆で観ようね!
この映画のマジッド・マジディ監督の作品「太陽はぼくの瞳」もとても良かったです。こちらもお勧めです。
運動靴と赤い金魚 [Blu-ray]
「運動靴」を通して見える兄妹愛が心地良い。特にマラソン大会のシーンは胸を打ちます。兄妹個々が様々に葛藤しながら、それでもなお優しい気持ちを忘れず、健気に生きる姿が切なく美しく描写されています。不器用な生き様の父親も本作の重要な要素になっています。この家族を通して訴えてくるテーマはひたむきに生きることの大切さ、思いやる姿の美しさだと思います。人間の良心を再確認したいとき、本作のラストシーンを見たくなります。運動靴1つでこんなに物語を膨らめることができる視点が本作の最大の魅力だと思います。
本作の製作国はイランです。現在、先進国はイランのネガティブキャンペーンに勤しんでいますが、こんな人情味に溢れた作品を撮れる国民性のある国が悪い国とは思えません。お金はいくらあっても邪魔にはなりませんが、お金があれば幸せとは限りません。貧しくとも良心に従って正直に生きる姿の美しさは世界共通なのだと改めて感じます。イランが戦禍に巻き込まれないことを祈ります。
現在、絶版中で、中古品は高額で取引されています。BDが発売されることを嬉しく思います。ワーナーさん、ありがとうございます。
運動靴と赤い金魚 [DVD]
見終わった後に、心が温かくなる作品だと思います。
不注意に不運が重なり、修理してもらったたった一足しかない妹の靴を無くしてしまった兄。困窮家庭の兄妹は、両親に新しい靴を買ってとも頼めず、子供らしい奇策に出ます。出来事一つ一つが微笑ましく、兄妹の愛、家族の愛を感じます。兄妹は、二人とも愛らしく、いじらしい。ストーリーは、恐らく皆さんの想像通りに進むことでしょう。見終わった後に、少しでも多くの方が心温かい気持ちになられたら、いいなぁと思います。もしかすると、日本が豊かさと引き換えに失ってしまったものが、そこにあるような気がします。
見終わって、邦題の秀逸さに気付きました。また見直したくなる、そんな作品です。