※「第二部」カバーの紹介文の転載です。
農村人の自覚をもって歩む杉野駿介の良き理解者であった父。その突然の死後、彼は東京へ向かった。二週間の在京は自らを客観視する機縁となり、実行によって新しい道を切り拓こうという信念をいよいよ固くしていた。悪疫に打克ち、託児所を開設する……。時代の圧力の下にあって、"転向"を政治の問題から人間の問題へと掘り下げた島木健作の力作長編である。
※解説頁・中村光夫
いわゆる転向作家島木健作の短篇集。主に晩年の作品。
表題作は、病気療養中の男が、ふと見かけた赤蛙の行動に「生」を見るというもの。私はこれを読んで感動し全集を買い求めてしまったほどです。何度読み返したか知れません。復刊を熱望しています。
どこからどこまで彼には少しも変ったところがなかった。 島木健作『黒猫』川幅はさほどでもないのだが、しかし先に言つたやうに流れは速い。 島木健作『赤蛙』
何ものも恐れるものなんかないといふ風だつた。行手を阻むものは何だつて踏み越えて見せるといふ風だつた。脇見をし、きよろきよろとあたりの風情なんかうかがひはしなかつた。一直線に前に向つて進んだ。(後略)』 (「若き日の悔恨」島木健作)
RT @hideKoba_bot: 歴史は時代々々によって不断に書き変えられるという性質をその本質に持っている。歴史学は人々が考えている以上に、科学より文学に似ているのである。 (島木健作の「続生活の探究」を廻って)ほんと、『生活の探求』が大流行したとは思えないほど、島木健作って埋もれちゃったんだなあって思ったりする。私もしらなんだし。ある意味で時代と共にうまれて、その時代と共に死んで、一気に埋もれてしまったような人ですね。でもそこかしこにこっそりしっかり存在している、そんな作家。
RT @hideKoba_bot: 歴史は時代々々によって不断に書き変えられるという性質をその本質に持っている。歴史学は人々が考えている以上に、科学より文学に似ているのである。 (島木健作の「続生活の探究」を廻って)
