澄江生物群化石図譜―カンブリア紀の爆発的進化
グールドの「ワンダフル・ライフ」で5億年前のカンブリア爆発を知った。バージェス頁岩から見つかり、(当時は)現在のどの動物門にも属さないとされたアノマロカリスやハルキゲニアの奇妙奇天烈な姿にわくわくした。
本書は、中国雲南省の澄江で発見された澄江生物群の化石写真集。澄江生物群はバージェス動物群より1500万年古いが、バージェス動物群と同様の動物群であり、非常にきれいな状態で化石化している。「ワンダフル・ライフ」ではイラストでしかみられなかった不可思議な動物達が5億年前に明らかに存在していたことを示す、鮮明な化石のカラー写真が、これでもかというくらい紹介されている。
アノマロカリスに萌えるあなたにおすすめです。
鈴木爆発
真剣にバカ・お間抜けに徹底したゲーム、最近ではなかなかお目にかかれない。
今プレイしても、技術者・パズル魂を刺激するメインの爆弾解体もさることながら、スチール写真を多用したストーリー部も斬新。
モデルは緒沢凛(今は極楽・加藤の嫁さん。口惜しや...)、音楽はFantastic Plastic Machine(田中知之)、ヴィジュアル&サウンドもシュールかつハイセンスであった。
自分が社会人になった今、短時間でシンプルに、笑って迷ってクリアして、最後にスッキリにんまり、という感覚こそが今欲しているエンターテインメントの要素であると痛感する。
吸血姫美夕 CDシネマII
ラジオ版CD第二弾。このシリーズがテレビ版最終回以後の話だと明確化されるのは、この二巻目に収録されているユィリィのエピソードと最終巻の冷羽とのリターンマッチのエピソードの故である。
今回はユィリィ再登場で、本編から本当に道士として大成長した彼女は、お約束どおりおいしい所をかっさらっていく。相手の神魔の特性がその最大の要因なのだが、美夕ファンには、ちと複雑。
個人的には、収録されているもうひとつの方のエピソードの方がお薦め。
仕事に覇気を無くしていたカメラマンの青年は、撮影に来ていた山中で、偶然ある女性を見かける。
その時、彼女が何気なく零していた「笑顔」に惹かれた彼は、何としてでも被写体としてカメラに収めたいと、もう一度自身の夢への情熱を取り!戡す。だが、当の女性は、どうやってその時の「表情」をしたらいいのか判らず戸惑うばかりだった。そんな彼らの交流を描いたものだが、これがまた切なくてイイ。
ファイアハウス
本書は不幸にもWTCから戻ることが無かった消防士達について多く書かれている。家族や友人を愛し、仕事を愛した平凡な、素晴らしい彼らの人生の日々。あの日、大切な人を無くしたすべての人の思いがここにある。一人一人の命の重さを感じさせる1冊。
吸血姫美夕 CDシネマI
テレビシリーズ終了後、放送されたラジオドラマ版のCDの一枚目でテレビ版の最終回以後のアウトサイドストーリーという設定だが、『美夕』の物語は基本的に一話完結なのだから、特にあまりそれを意識することなく、楽しめるようになっている。
ある意味でテレビ本編は、はからずも、ある一定の街に長期間留まり、あまりにも深く特定の人間達と関わることとなった故に起こった「悲劇」の物語であり、「監視者」美夕にとっては、かなり『特殊な状況』に置かれたエピソードを抜き出したものだったのだから、こちらのラジオ版の方こそが、本来の『物語』の姿だといえるのかもしれない。
物語の舞台も、学生生活に拘泥せず、はるかに自由度が高くなっており好感が持てる。海辺で戻らない恋人をずっと塊...!ち続ける女性がいて、彼女に関わった男が次々と変死を遂げる話と美夕が同じ一日を永劫に繰り返している異様な街に迷い込む話の二編。
あいかわらずクオリティの高い一枚。お薦め。