小澤征爾さんと、音楽について話をする
私は村上の作品のうち、イタリアとギリシアの滞在記で
ある『遠い太鼓』しか読んだことがなく、そこにはイタリア
滞在中にオペラを見に行ったときの話が書いてあったが、
村上がこれほどクラシック音楽ファンというかマニアであった
とは、知らなかった。
NHKの100年インタビューに小澤が登場したとき、インタ
ビュアーがクラシック音楽の素養がないためか、もうひとつ
音楽についてのつっこんだ話が聞けなくて残念であったが、
本書では良いインタビュアーを得て、小澤が指揮者オーマン
ディーの部屋を使わせてもらったときに、指揮棒を3本失敬した
というような話はともかく、音楽について、演奏家について、
自分が振ったコンサートについて、いろいろ詳しい話を聞くこと
ができてとても面白かった。この100年インタビュー(DVD)で、
小澤が指揮をしているときに譜面台にぶつけて骨折したという
小指を見せていたが、本書ではその骨折の経緯も述べられて
いる。
小澤は村上の家で一緒にレコードを聞きながら、感想を述べ、
解説し、バーンスタインやグールドとの思い出を語る。小澤の
CDやDVDも再生してもらっている。同じ曲の演奏が、ボス
トンを振ったときとサイトウキネンとで音楽がどう違うか、奏者
の気持ちがどのように演奏に現れているかを小澤が説明する
あたりなどとても興味深い。小澤のCDを聞きなおしてみたく
なる。
マーラーについての章も印象に残った。マーラーの音楽の
作り方についての説明は、マーラーを聞く際に大いに参考に
なる。私自身、あまり好んでは聞かないマーラーであるが、
今度はそういう点に気をつけて聞いてみようという気になった。
村上はしゃべりすぎであるが、これだけいろいろしゃべるから
こそ、小澤もあれこれ話す気になったのであろう。まだリハビ
リ中であるため、小澤はときおりフルーツやおにぎりを食べたり
しながらレコードを聞いて対談していたが、小澤には無理を
しないで、と言っても、無理しないではおられないのが小澤なの
だ、と村上も前がきで書いているが、健康に気をつけながら、
もっともっと指揮者活動を続けて欲しい、と祈りたい気持ちに
なった。
ボクの音楽武者修行 (新潮文庫)
小澤征爾が20代の時に経験した欧米での修行と飛躍の経験を自分で綴った本。成功した後に若い頃を思い出しながら書いている本ではなく、かなりリアルタイムに近い形で書かれている。音楽を職業にする若かりし小澤征爾の心意気と、彼の(意外な?)生活力が感じられるのが面白い。数十年前の本でありながら今読んでも楽しい。
小澤&ウィーン・フィル ニューイヤー・コンサート2002 [VHS]
2002年のウィーンフィルのニューイヤーコンサートをTVで見た方も多いと思います。
でも、このDVDは、TVと違ってオケより小澤征爾がメインに撮影されています。
彼の表情や指先や身体の動きがとてもよく見えて「お〜〜っ」って感じです。
私はTVをビデオに撮って何度も見たのですが、こんなに指揮者がメインではなかった
と思います。ほとんど横か後ろが多かったような…。
20曲以上を譜面なしで指揮していたのも初めて知りました。彼はいつも譜面なしなの
かもしれませんが…。
最高の音楽を聴きながら、小澤征爾の指揮が楽しめる良いDVDだと思います。
ニューイヤー・コンサート2002 小澤征爾指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 [DVD]
2002年1月1日のウイーンフィルニューイヤーコンサートを収録したもの。指揮は小澤征爾氏。この日は実は、通貨ユーロの発足した日であり、会場の楽友協会ホールのパイプオルガンには通貨ユーロの記号がかかり、演奏途中の背景にユーロの記念金貨鋳造の映像が映ったりするなど、様々な意味で記念碑的なコンサートの記録である。
昨今健康面で不安を抱えてらっしゃる小澤征爾氏もこの当時はまったくお元気で、エネルギッシュな指揮ぶり。演奏会も大盛会だったようで終曲のラデツキー行進曲が終わるや否やのブラボーと拍手が凄まじい。
再発売でお値段がお値打ちになったのも嬉しい。この値段も考慮して☆5つとさせて頂きたい。
ドヴォルザーク・イン・プラハ
死ぬほど感動しました。
こんなにもドラマティックなユモレスクがあったでしょうか。
小澤、ボストン響、ヨーヨーマにパールマンと、豪華絢爛なキャストのそれぞれの熱い思いが伝わってくるかのような、凄まじい演奏です。
何度泣いたかわかりません。
ユモレスクに限らず、すべてが美しく、ロマンにあふれ、感動的です。
絶対に持っておきたい1枚でしょう。