五つの銅貨 オリジナル・サウンド・トラック
このアルバム、アナログの頃からのお気に入りでした。映画の方は・・・ですが、アルバムとしては最高だと思います。
私が古いジャズにはまったきっかけがこれでした。音楽ってこんなに楽しいんだと言うことがよく分かりました。最初の曲メドレーが三曲の別の歌になり、ストーリーにあわせてかぶりながら最後へ続くなんて、ジャズのアニメ映画みたいです。詳しく書くとお楽しみが半分になってしまいますが、途中のギャグや楽屋落ちも笑えます。とにかく聞いてちょうだいの一枚です。
密売人
北海道警察の6年前の不祥事事件に関わった刑事たちが、それぞれの事件を追います。
やがて連続殺人事件に集積されてきます。
視点が細かく変わりますが、読みにくくはありませんし、緊張感が持続します。
最後に落とし前を着けて、読後感良く終わります。
さらなるシリーズ展開が期待されます。
愛の夢~リスト・ピアノ名曲集
このCDの中で、特に'ため息' と 'コンソレーション' そして
'愛の夢3番' がお勧めです!
ボレ特有の、優しく、そして微妙な強弱の駆け引きに長けた
演奏を堪能してください。絶対お勧めです!
クラシックの長所として、他の演奏者との聴き比べがありますが、
愛の夢3番はティボーデ(デンオン版かロンドン版)と
是非聞き比べてください!
若さと希望に満ち溢れた彼の演奏に対し、
ボレは愛する人を優しさで包み込むような大人の演奏、
どちらも甲乙付け難い逸品です!
きっとあなたをクラシックピアノの世界へと導くでしょう。
最後に、'超絶技巧'についてですが、
個人的には6番の'幻影'が好きですが、面白いことに、
私の知人は皆意見が別れます。5番が難曲中の難曲らしいですが、
あなたは何番が好きになるでしょうか?
ボレは柔らかいタッチでまとめ上げていて、
ベルマンの荒々しい演奏や、アラウの切れのある演奏、
アシュケナージのコンピューターのような演奏と比べてみるのも
一興ではないかと思います。
サティ:ピアノ作品集(2)
エリック・サティ(1866~1925)が現在のようにコマーシャルにまで多く用いられ、生活に浸透して行った『演奏者』としての最高の功労者はと言えば日本ではあまり評価が高いとは思われないアルド・チッコリーニだろうし、日本における最大の功労者は間違いなく高橋悠治・アキ兄妹だろう。
1980 年2月、ニューヨーク州立大学バッファロー校に付属していたセンター・オブ・ザ・クリエイティブ・アンド・パフォーミング・アーツ(創造的演奏芸術センター)のメンバーであった高橋アキは、このセンターのディレクターであった作曲家モートン・フェルドマンからそこでのリサイタルにメシアン・クセナキスの曲とともにサティの『5つのノクチュルヌ』を所望された。高橋アキは、渋谷にあったジャンジャンで足掛け3年間『エリック・サティ連続演奏会』を行っていてほとんど全曲を日本でおそらく初めて知らしめていたのだ。時にジョン・ケージが大きくエリック・サティに傾倒していて、ケージと30年来の友人であったフェルドマンがサティ*ケージ*高橋アキの3つを繋いだと考えられる。
その時兄高橋悠治はサティの音楽をより、音楽論的に作品分析を行っている。
例えば最も有名なサティの曲『ジムノペディ第3番』は、メロディーをMとし、前奏・間奏・後奏をLとして小節数を数えると次のような図式になる。
L4M9M7M7/L3M10/L2__M6M7/L5
かくて主旋律から伴奏和音が予想できず、あらゆる虚飾の剥ぎ取られた純な音が抽出され、音楽が生成されていく。
美しいサティの音楽がサロンに埋もれることなく、全曲を漏れなく今この耳に聴けると言う奇跡を起こした人、それが高橋悠治とアキだ。