素晴らしき戦争 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
☆J・リトルウッドの有名な反戦ミュージカル舞台劇を映画化した、とてつもない超大作で、個性派の脇役として地道に活躍していたイギリス出身のベテラン俳優リチャード・アッテンボローの監督1第作であるが、第1作目にして、いきなり並外れた監督才能を存分に発揮、その素晴らしい出来映えには筆者の想像を超えて、ビックリ仰天させられた。彼の監督としての実力は『遠い夜明け』や『コーラスイン』、『ガンジー』、『永遠(とわ)の愛に生きて』等々の作品群を観れば一目瞭然。当時、映画館で本編を観賞したが、すこぶるゴキゲンになり、大喜びしたのを今でも鮮明に憶えている。これ程、完成度の高い作品にもかかわらず、我が日本では何故か過小評価されているのが、不思議で仕方ないが、こういう正真正銘の大名作にぶつかると断然嬉しくなってしまう。1914年初頭の欧州(ヨーロッパ)。 ドイツと同盟したオーストラリアとロシア、フランスの後ろ楯をもつ小国セルビアとの間は一触即発の危機に直面していた。そんな中、オーストラリア皇太子夫婦暗殺を契機に、同国外相ベルヒトルト伯爵(ジョン・ギールグット)はフランツ・ヨセフ皇帝(ジャック・ホーキンス)の署名した宣戦布告書をセルビアにつきつけ、ついでにドイツのカイザー(ケネス・モア)はベルギーに侵入し、イタリアと同盟を結ぶ。そこで、サー・エドワード・グレイ外相(ラルフ・リチャードソン)の外交手腕により、中立を守っていたイギリスも、連合国側として参戦を余儀なくされる。ここに1919年4年7月、第一次世界大戦が勃発。志願兵制度だったイギリスは、ヘイグ将軍(ジョン・ミルズ)の指揮下のもと徴兵運動が行われる。その熱狂的な興奮の〈るつぼ〉にまかれ、戦争とは無縁だった筈の平穏なスミス一家の真面目な若者たちが幕兵に応じ、ベルギー戦線に出兵していくが、現実の戦況は、国民のお祭り騒ぎとは裏腹に連合国側とっては苛烈きわまりない不利な状況下にあり、予想外の苦戦を強いられ、次々に犠牲者が続出。英国派遣軍総司官サー・ジョン・フレンチ(ローレンス・オリヴィエン)は、そんな戦況を知りつつ、積極的な行動をとろうとしなかった。全ては英国軍上層部による身勝手な国策による、イデオロギーまみれの国家権力のプロパガンダに踊らされた故の悲劇であった。という、作品としては戦争の愚かしい不条理な部分や軍事批判、コミカルな程好いペーソスが入り交じった喜怒哀楽の物語に替歌を織り混ぜた、ゲーム感覚的なミュージカル形式のドラマ構成を軸にシニカルで、シュールなブラックユーモアを加えた洒落っ気たっぷりな社会諷刺劇風にお話が展開していく。戦争に翻弄される何の罪もない普通の庶民生たちの生活風景と軍部の丁々発止のやり取りの心理葛藤を客観的にとらえた新鮮な映像テクニックも非常に優れており、それを一段と際立たせるオーソドックスな描写も絶妙な相乗効果をもたらしております。スピーディーかつメリハリの効いた華麗な振り付けをしたのはエレナ・フェイザン。俳優陣も豪華絢爛で、ざっと並べると、言わずと知れたシェイクスピアの第一人者である重鎮ローレンス・オリヴィエを筆頭にラルフ・リチャードソン、ジョン・ギールグッド、ジョン・ミルズ、ケネス・モア、ダーク・ボガード、スザンナ・ヨーク、マギー・スミス、ジャック・ホーキンズ、ジェーン・シーモア、ジャン=ピエール・カッセル、エドワード・フオックス、ヴァネッサ・レッドクレーヴと横綱級のオールスター・キャストが勢揃いしている。よくぞこれだけ知名度の高い名優たちがこぞって出演を快諾と思います。そして、映画史に刻まれるであろうと思われる、感動と情緒的なフィナーレには一喜一憂な気持ちにさせられた(涙)。約145分近い長丁場ではあるが、中だるみや迷いが一切感じられない〈ヒューマニズム〉を重んじる堂々としたリチャード・アッテンボロー監督の天才的なセンスが光る見事な演出力には拍手喝采を送りたい!☆。※【戦争】とは、決して〈素晴らしき〉ものではありません。勝敗や大義名分、善悪に関係なく、残酷で惨たらしいモノなのです…。
ナッシュビル [DVD]
ロバート・アルトマンが緻密に組み上げた群像劇の大傑作という記憶が強かったのですが、あらためて観直してみると意外にも、すごく自由に撮られた映画で、計算ずくでない傑作であるところを再確認できました。当時は、現代(70年代)のアメリカの縮図的な見方をしていたように思いますが、もっと柔軟な頭で、感じるがままに楽しめばいい映画だったんだなあと。今回、観直して強く感じるのは、カントリーミュージックとナッシュビルの街の魅力でした。カントリーの本場、ナッシュビルの曲を使っていないというアルトマン監督のコメンタリーにも驚きますが、出演者たちが持ち寄った曲というのが、またなかなか良いです。キース・キャラダインのアカデミー受賞曲「アイム・イージー」はもちろんのこと、カレン・ブラックが歌う曲も本人の作品なんですね。今も昔も印象に残っているのは、キャラダインが歌う「アイム・イージー」を聴くリリー・トムリンのなんともいえない表情。あと、グウェン・ウェルズの残酷なストリップシーン。このシーンで監督が彼女に辛い思いをさせたくなかった的なコメントがあったが、あとから監督にもそう思わせてしまうのは、彼女の名演があったからでしょう。だって彼女、ロジェ・バディムの「花のようなエレ」(良かったなあ!)やプレイボーイ誌でヌードは経験済みだったのだから。ここでは、エレのときとは全く違って、アメリカのダイナーの気のいいウェイトレスにしか見えないのが巧いですね(頬の涙の飾りが哀しい)。あとカントリーの大スター役ロニー・ブレイクリー(彼女は、歌手が本業で役者としては素人だというのも驚き)がステージで見せるスリリングな場面も忘れ難いです。意外な感じがしたのは、ラストを締めるバーバラ・ハリスの扱いがすごく軽いこと。テレビ放映版の印象が強いからかな?(多分1時間以上はカットされていた)。ネッド・ビーティやアレン・ガーフィールドらの芸達者ぶりが見られるのも嬉しい。シェリー・デュバルの強烈な個性も!!予告編と、アルトマン監督のインタビュー付き(インタビューの内容は音声解説との重複あり)。オリジナル予告編は、主要24人の役者さんが簡潔に紹介されていてgoodです。画質は普通でしょうか。
愛しのロクサーヌ [VHS]
もう随分古い映画ですが好きなのでレビューします。
昔の小説をアレンジしたものらしいですが原作を知らない
私でも大変楽しく見れました。
巨大な鼻の主人公(CD)役のS・マーチンが最高に面白い!
CDは小さな町の消防所長で新しく越して来た女性(D・ハンナ)
に一目惚れ、しかし彼女は自分の部下がお気に入り・・・
そこで、自分の気持ちを口下手の部下に代わり彼女にぶつける
ことになり・・・
兎に角面白い、私のお気に入りは巨大な鼻を自虐的なジョーク
にして語る場面、是非一度見て下さい。
月曜日は魔法使い (HJ文庫G シ01-01-01)
本書には、ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)の発売元であるWotC社に務めながらもそれまでD&Dを遊んだことのなかった女性が敬遠していたD&Dに誘われ、嵌り、ついにはD&Dに偏見を持つ女友達をD&Dに誘うに至るまでの経緯と、D&Dとは如何なるゲームなのか、その魅力が彼女自身の体験とユーモアに基づいて書かれています。
本書のアメリカン・ユーモアに関しては、ホビージャパンのサイトにあるプレビューを読むだけで伝わってくるでしょう。全編ユーモアに満たされ、”秩序にして善のセレブ”や”D&Dがデートに勝る10の理由”などは思わず噴き出してしまうこと請け合いです。
しかし、本書の恐ろしいところはそういった著者のユーモアだけでなく、D&Dがアメリカでどのように非ユーザーに思われているか、D&Dユーザーがその魅力をどう非ユーザーに伝えようとし、それがどのように思われたのか、という報告それ自体にあります。
TRPGゲーマーなら誰しも少なからずある経験が否応なく突きつけられ、いたたまれない思いと何とも言えないむずがゆさを感じるのではないでしょうか。
そして、それを越えて著者が本当にD&Dを楽しみ、嵌り、そしてその面白さを伝えようとしていることに気付くと思います。
キャラクターメイキング、冒険、戦闘、そして自らがマスターとなって友人を誘うまでの彼女の経験が上質のD&Dガイドとしても本書を成立させています。D&D好きのみならず、TRPG好きには一見の価値がある本書、プレビューに惹かれたらお勧めです。