ベートーヴェン : ピアノ協奏曲第5番変ホ長調 「皇帝」
☆高校の音楽の授業のとき、この《皇帝》を聞いて、第2楽章の美しさに改めて感じ直した私は、家に眠っている古いレコードを何回も何回も聞き返し、好きな曲のひとつにすることができました。この〈第2楽章:アダージョ・コン・モート〉の、管弦楽から始まり、やがて、パンパンとふたつの音から始まるピアノの音色を聞くと、こんなにピアノの音って美しいんだなあと感じます。スピード感あふれる第1楽章もいいです。
モーツァルト:作品集(2)
クラリネット協奏曲イ長調K.622は、1791年に作曲されたモーツァルト最後の協奏曲。彼の全作品中最高傑作との評価もある。当時のクラリネットの名手アントン・シュタードラーの為に作曲され、この曲は"秋色"と形容されるような「あくまで澄み切った秋空に染み渡る存在の悲しみ」を感じさせる。オルフェウス室内管弦楽団員はむしろ爽快な「微笑み」を目指しているようだ。
ピアノ・ソナタ第11番イ長調 K.331(300i)《トルコ行進曲付き》 は名手アルフレート・ブレンデルの洗練された名盤で。「ピアノソナタの癖にソナタ形式のない変わったソナタ」という点にも注目。
「誰もがみーんな知っている(月光仮面のおぢさんではありません)」セレナーデ第13番ト長調 K.525《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》 が爽やかだから、
ちょっくら聞き通すのがしんどいかもしれない「セレナーデ第6番ニ長調 K.239《セレナータ・ノットゥルナ》 」もじっくり聞き込めるでしょう。
パルマのフルート、ナンシー・アレンのハープが素敵な「フルートとハープのための協奏曲ハ長調 K.299(297c) 」は本当に素敵な曲。第1楽章も第2楽章も絶対「聞いたことがある」はず。
モーツァルト晩年の「諦念」が色濃くしかし淡々と語られる地味な傑作「ピアノのためのロンド イ短調 K.511 」を再び名手アルフレッド・ブレンデルで。
中学か高校の音楽鑑賞で必ず聞かされた弦楽四重奏曲の傑作、「弦楽四重奏曲第17番変ロ長調 K.458《狩り》」は若々しいエマーソン弦楽四重奏団の佳演で。
最後は溌剌とした「ホルン協奏曲第4番変ホ長調 K.495 」
選曲良し、演奏者良し、録音良し、価格は破壊的・・・(しかもちゃんとしたブランド品)という夢のような二枚組みだ。
アルフレート・ブレンデル・エディション(ヴォックス、ヴァンガード、ターナバウト・レコーディングス)(35枚組)
ブレンデルのフィリップス以前の、つまり若いころの演奏が主に収められている超お買い得セット。
ベートーヴェンのソナタ全集も収録されているが、個人的にはこの時期のブレンデルのほうが抑制はされてはいるが、デッカの録音よりも勢いがあるのでいいと思う。巨匠巨匠していないところが退屈さを感じさせないが、後の録音で聴かせる見事な弱音もすでに聴ける。有名どころのソナタはテンペスト以外はやや平凡に聞こえるかもしれないが、30番以降に関しては見事。ベートーヴェンの全集として持っているだけでも値段的にもお得。
シューベルト、モーツァルトは弾いていたころの年齢が作曲者と近いせいか、考えすぎて弾いてるような感じもすることが多いブレンデルにしては共感を持って弾いてるこちらの録音が意外なほど溌剌としていて楽しめる。
そして、このセットの面白みとしては、「ペトルーシュカ」などピアノの作品をこのころは何でも弾いてみて録音しという感じがするようなものまで収録されていること。演奏の出来不出来はあるとは思うが、こういう曲も弾いたというだけでも楽しめるし、とにかく幅広いピアノ作品が聴けるのでピアノ作品をいろいろと聴いてみるためにも持っていて損はないでしょう。
惜しむらくは、音質の悪い録音も多々含まれているところ。この点で星をひとつ減点して4つとしておくが、録音集としては5つ(ただ個別に演奏を聴いていけば星1つのものあれば、文句なしの5つもある。だからこそこのセットが面白いとも思う)。