弾正の鷹 (祥伝社文庫)
信長を殺す!!
固い信念か、親の仇討ちか、それとも成り行きか、女のためか・・・
動機・由縁はさまざまであれ、
とにかく「信長を殺す」という一事をもって集められた短編集。
どれも短い物語ながら、
余計なものを削ぎ落とした鋭さ、
殺す者も命がけという切迫感、
十ニ分に伝わってくる。
殺す側は、杉谷善住坊や「下げ針」といった比較的有名どころから、
江口の遊び女や女鷹匠といったまったくの創作人物まで、
どれをとっても巧みな人物造型。
驚くべきは、次第に「殺される側」信長像が目に見えてくるところ。
単なる断絶した短編の集積ではなく、
テーマの共通を見事に活かした、本一冊かけて描く信長像。
ラストに明智光秀の短編でも入れれば、きれいなオチになったかも。
技量、内容ともに申し分ない出来の歴史小説。
これを読まずにおく手はないと思います。
蒼穹のファフナー DVD-BOX【初回限定生産版】
放送当時からずっと好きで、今年の再販でやっと購入することができました。
当時は懐に余裕がなくて泣く泣く諦めましたが、ずっと忘れることのできない作品だったので、
今回の再販はとても嬉しかったです。
今見ても色褪せない物語。
特に16話からの展開はいつ見ても本当に良い。
また今後は、映画を見た後に本編に戻るという見方もできます。
私は映画観賞前に本編をおさらいし、観賞後にまた本編を見ましたが、
映画の後の本編は、また違った意味で感慨がありました。
6年の歳月を経て再び動きだしたファフナー。
本当にこの作品が好きなんだなと改めて実感しました。
そしてこれからもやっぱり忘れられない作品になるんだと思います。
みんな、おかえり。
ベスト・オブ・ベスト/日本の名歌
瀧廉太郎作曲の「荒城の月」「花」「箱根八里」、山田耕筰作曲の「この道」「からたちの花」など日本の古典的歌曲を始め、珠玉の作品を集めたと言える歌曲集です。この4枚組に収められた115曲は、後世に歌い継いで欲しい曲が沢山含まれていました。懐かしの小学唱歌や童謡も多く含まれていますので、幅広い年代に愛される企画だと思いました。
収録されている声楽家も素晴らしいメンバーでした。立川清登、伊藤京子、中沢桂、松本美和子、澤畑恵美、中村邦子、木村宏子、中村健、永田峰雄、斎藤昌子、吉田浩之、本宮寛子、そして関西を中心に活躍しながら、今や全国的な活動を広げている三原剛、畑儀文、そして日本の声楽界における重鎮・畑中良輔の「沙羅」の名唱を聞くことができます。ここに収録された何人かの声楽家の声を聴きましたが、CDとして聞くとそれぞれの発声法における個性の違いが結構分かり、新たな発見がありました。
録音年代が書かれていません。結構幅広い年代にまたがっているとは思いますが、聴感上の支障はなかったですね。ピアノ伴奏は、声楽、合唱伴奏に多くの録音を残している三浦洋一、浅井道子によるものが大半ですが、他に青島広志、塚田佳男、藤井孝子という名も見えますので、安定した音楽が展開されています。
これらの録音の貴重さは、何人かの方がすでに鬼籍に入られていることから日本の声楽家の歩みという点から見ても歴史的な価値を見出します。
全曲とも解説が書かれていますし、小山晃氏による声楽家の紹介も詳しいものでした。ただ出来れば伴奏のピアニストの紹介があっても良かったかな、と愛好家の一人として思います。
銀河鉄道999 [Blu-ray]
映画本編内容についてはもう語る必要はないと思います。大傑作映画が最高画質、最高音質で堪能できる、それ以上の感想は無用でしょう。
なので、補足的に気付いた点を挙げます。
映画が始まる前に例の「テレビを見るときは部屋を明るくして〜」等のアナウンスが入りますが、アナウンス役を車掌さん(声:肝付兼太さん)が務めておられます。しかも車掌さんが新作アニメーションで動きます。アナウンス中、車掌さんの腕章が幾度となくずり落ちるので、劇場版の車掌さんであることが分かります。ニクい演出ですね。アナウンスの途中でクレアが乱入して来るなど細かい「くすぐり」もあって楽しめました。
…肝付さんの息継ぎ音、息切れ音まで拾えてしまう点については、まあ御愛敬というか、諸行無常というか、流石はブルーレイということで大目に見てあげて下さい。
特典映像「ガラスのクレア」は1980年3月15日に「東映まんがまつり」で劇場公開された15分の短編映画です。OP/EDはテレビ版のOP/EDが使用されていて、「懐かしい!」の連発です。「銀河鉄道999」(OPテーマ曲)と「青い地球」(EDテーマ曲)も拝聴でき、「ささきいさお」さんの美声に酔いしれます。ナレーターは勿論、テレビ版のナレーターを務めておられる、高木「ムーミンパパ」均さんです。次回予告もテレビ版の次回予告を踏襲しており、とてもいい感じです。そして勿論、最高画質、最高音質。言うことなしです。
映画本編と「ガラスのクレア」には日本語字幕ON/OFF機能が付いています。日本人が日本人向けに作った作品に何で日本語字幕が必要?と、思われるかもしれませんが、小さいお子さんや聴覚に障害がある999ファンの方への配慮、といったところでしょうね。
細かく気配りされた本商品の仕様の数々にただただ恐れ入る次第です。