慟哭の谷―The devil’s valley
ただの記録ではない不思議な読み物でした。
事実を基にしたものとして、とっても凄みがありました。
興味深いのは、事故の前後に予言めいたことや、不思議な同一性があったという考察です。
また、最初に殺害された子供(幹雄)が実の母の夢枕に立ったという記述は、背筋が寒くなりました。
読み物としては、「羆嵐」とはまったく別物です。
この間「奇跡体験アンビリーバボー」に取り上げられましたが、本書と「羆嵐」が混同していて、見ていて不愉快でした。
事実とフィクションは区別していただきたいものです。
「羆嵐」とセットでお読みするのをお勧めします。
リアルぬいぐるみ ヒグマ
ヒグマに魅入られた息子のために、プレゼント用で探して買いました。
本当にリアルで、毛並みが気持ちいい。
息子より私が気に入ってしまいました。
最初1匹買いましたが、もう1匹追加してしまいました。
息子はいつも枕元において一緒に寝ています。
羆嵐 (新潮文庫)
凍てつく北海道の開拓地、極寒、住民の恐怖・・・いろいろなものが目に浮かびます。実際にあった事件というのでネットで事実関係を追っていくとその後も更なる恐怖を感じました。事件の様子が容易に想像できるほどの迫力ある小説です。
大草原の少女みゆきちゃん [DVD]
おとうちゃん"久保俊治"さんの羆撃ちに感銘を受けた後、映像があると知って即購入しました。
映像で見た久保さんは、さすが、オーラがあり、只者ではない雰囲気。
そして、子に対する愛情も、都会の世間一般とは少し違う注ぎ方をします。
厳しく叱るシーンがあり、一見、酷いと思うかもしれない。
でも、子は親を信頼し、親は子を信頼している。
だから、現代でよく耳にする虐待ではない"躾"になるのです。
羆や大きな鹿が出るかもしれない山の中を、小学校1年生の小さな少女が一人で歩く。
普通じゃ考えられません。
でもおとうちゃんは、『変だと思われるかもしれないけど、自分がそうやって育ってきたから。』
と担任の先生に話します。
自分が住んでいる北海道の親世代は、たしかにそうやって学校に通っていたわけです。
でも、ただ放っておいているわけではない。
何日もかけて、通学路の草刈をしたり、通学路周辺の春熊の様子をチェックしたり。
それも、みゆきちゃんを連れて、しっかりと自分の眼で、肌で感じさせているのが良い。
何かあれば、おとうちゃんは全力で娘を守るし、守ってくれるという安心と信頼があってこそです。
愛情やフォローがあってこそ、躾は成り立つわけです。
厳しくすれば良いわけでもなく、甘やかせば良いわけでもない。
当然だけど、そこが難しい。
時に優しく、時に残酷な大自然に負けない子に育てる為だと、映像を見ているとすぐ感じられます。
そして、みゆきちゃんはその通りに育っている。
『ハイ!』と返事をしているのが印象的でしたし、遠足の帰り道レースは驚きでした。
自分は久保さんほどの人間ではありませんが、子を持つ親として、こうありたいなと思いました。
物凄くハラハラドキドキするシーンもなく、淡々と日常の映像が続きますが、
現代の都会の日常ではないので、あっという間に見終わると思います。
オススメです。
四季・知床半島 ~ヒグマ親子の物語~ [DVD]
“カムイ”と名付けたヒグマの子どもとその母熊を、長期間に渡って追いつづけたドキュメンタリー。ヒグマの子どもは、二匹に一匹の割合で死んでしまう。子グマがいずれ独り立ちできるように、生きる知恵を身をもって教える母熊。しかしある時は厳しく突き放し、数週間も置き去りにしたりする。そんな中でカムイは、自分で獲物を獲ることを覚え、たくましく成長していく。
知床の冬は厳しく、一年の半分を占める。その中で、他の動物たちも懸命な営みを続けている。川で産卵した直後、力尽きてそのまま死んでいく鮭の群れ。それがそのまま、熊たちの貴重な栄養源となる。また、海底で卵を数ヶ月抱きつづけ、孵化していく稚魚たちの姿を見届けて、力尽きてひっそりと死んでいく雄の深海魚。
どの動物もいとしく、感動的でさえある物語を、淡々と語り継いでいる。その押しつけがましくない語り口に好感が持てる。日本にもまだ残されている手つかずの大自然と、その中で生きる動物たちに、畏敬の念を覚える。