アイシールド21 Vol.8 (SHUEISHA JUMP REMIX)
リアリティを求める私にとって、スポーツ漫画は苦手の部類に入る。スポーツを通し、得られた結果というのは常に非情で残酷である。ことに団体技となれば尚更である。
今年のアテネオリンピック、我が日本は団体球技において、金メダルを取ることができた種目は何一つとして存在しない。
だからこそ、サッカーや野球のスポーツ漫画家は主人公達が勝利を掴んで、読者を感動させようと専門用語を並べ、強敵を揃え、たった数分の試合のやり取りを何十週にも渡り、延々と繰り返す。
しかし、本作品はそういったやり取りが一切無い。アメフトと言う、日本人ならば、ラグビーと勘違いしてしまうであろう、未知のスポーツを、独特の表現や効果によって、分かり易く表現している。
「負けても悔いは残りません。」といった、歯の浮くようなスポーツマンシップが大嫌いな私にとって、純粋に勝ちのみにこだわるヒル魔に好感が持てた。そして、本作品はそんな世界に破れ、消えてゆく惨めな選手ですら、リアルに表現される。
勝負の世界で光り輝く、天才達。凡人は努力をしても、天才に追いつくことはできず、嘆き、悲しむ。この作品ほど、天才と凡人がきっちりと分けられたスポーツ漫画があるだろうか?それだけ、勝負の世界の厳しい現実を垣間見ることができるスポーツ漫画である。