官僚の責任 (PHP新書)
福島第一原発の事故は日本のみならず世界を震撼させた。その事故処理の過程で日本政府はもとよりであるが、東電およびその監督にあたる官僚組織の無能ぶりがあらためて露呈した。本書の著者は原発とは直接のかかわりなしに、官僚の無能無責任ぶりを指弾して抜本的な制度改革の必要性を説いてきた。原発事故はそのような著者の主張に100万の援軍となったことは疑えない。事ここに至ってこの問題を避けて通るわけにはいかないと誰しもが思うだろう。
職場、組織の中の官僚が個人としてどのような立場に置かれているか、税金を人質にした互助組織でもある個々の官庁の利益は国益とどのように対立するかは、第2章「官僚たちよ、いい加減にしろ」、第3章「官僚はなぜ堕落するのか」に詳しい。これとは別に、なぜ民主党政権は失敗したかについての見解も第1章「政治主導がまねいた未曾有の危機」ほか、諸所に散りばめられている。
著者の言うように「自分の働き一つで世の中の仕組みを変えられる官僚の仕事は、民間ではなかなか体験できるものではない。とてつもない高揚感を得ることができると思う」。ところがそれを「職業」ではなくたんなる「身分」に貶めているのが現在の官僚組織である(p174)。(これが多かれ少なかれ、日本社会に広く見られる現象であることも指摘されている。)
そればかりではない。日本最高の頭脳を自任する法学士たちは実に頭が悪い。法律が禁止している双方代理的な体制を自作自演してわが世の春をむさぼって恥じない。原発を推進する経産省の中に安全保安院を置くことの不思議に気がつかない。法令省令を作った己自身がその解釈運用に当る例は至るところに見られる。
第4章「待ったなしの公務員制度改革」、第5章「バラマキはやめ、増税ではなく成長に命を賭けよ」には傾聴すべき示唆が溢れている。ただしここに論じられているのは主として上からの改革であって市民の視点に乏しい。官庁の内部により多くの光を当て、透明性を高めることが官僚に責任を自覚させる上で欠かせない。原発事故が病巣を白日の下にさらしたことがその何よりの証拠である。
TPP亡国論 (集英社新書)
自由の名の下にアメリカの日本支配が着々と進んでいるのか…
私は、1次産業を守るためにTPPに参加しないのは馬鹿げていると考えていた。
とりあえず交渉の場に参加して条件に不満があれば降りれば良いと考えていた。
ただの関税撤廃交渉であると考えていた。
著者の意見を聞くまでは。無知は怖い。日本はどうなるのだろうか。
私はTPP締結には反対である。
日本中枢の崩壊
過激な公務員改革論者、古賀茂明氏の本。
現役の経産省の官僚だ。
行革担当大臣時代の渡辺喜美氏のブレーンで
仙石由人に恫喝された、あの官僚
といった方が通りはいいだろう。
その古賀氏の官僚としての回顧録と
行革のプランがまとめられている。
巻末の電力会社の送電分離も大変興味深い。
天下り根絶はどこへやら、
事業仕分けはパフォーマンスで終わり、
国家公務員の人件費2割カットを公約しながら
原発というお国の一大事でも5〜10%しかカットしない
何もしない民主党議員にこの本を読ませたい。