マーティン・スコセッシのブルース
「ビリー・ホリデイも憧れた」と常に冠されるベッシー・スミスは、いわゆる「クラシック・ブルース」に分類される人で20年代の録音ですが、心積もりができていれば、音質にも別段ひるむこともありません。たしかに現代の録音に慣れた耳にはいくぶん靄がかかったように聞こえるかもしれませんが、それでも男勝りの歌いっぷりにはやはり誰もが圧倒されるでしょう。ちなみに有名な「セントルイス・ブルース」にはプロモーション・ヴィデオ(?)が存在しており、僕はLDの「ブルースランド」で見ました。ところで、マーティン・スコセッシのブルース生誕100周年を記念するこのシリーズは、90年代初めのブルース・ブームを偲ばせてくれる体裁で、久し振りの廉価盤の国内盤でうれしかったです。この後も英のブルー・ホライズンのオムニバス等うれしい仕事が続いてます。
Essential Bessie Smith
コロンビアで録音された1923年~33年までの選りすぐりの36曲が納められています。日本の大正末期から昭和8年までの時代、実に今から80~70年も前の曲ですが、ベッシー・スミスの歌声は正に永遠の輝きを持って魅了し続けます。その分かりやすいメロディラインと魂の通う歌声の魅了するもの、それは単に音楽的に聴いていて心地よいなどといった問題ではありません。南部から生まれ北上していき、白人の中へと入っていった黒人音楽の記録が、ここにはありのままに残され、そのドキュメントを目の当たりに出きる感動が息づいてているからなのでしょう。そんな36曲を存分に聞くことの出きるCD2枚組みです。