MAGNUM CONTACT SHEETS(マグナム・コンタクトシート) 写真家の眼―フィルムに残された生の痕跡
あの決定的瞬間の前後にはこんなショットがあったのかと目からウロコがぽろぽろ落ち、
1枚のベタ焼きに濃縮された写真家の時間がぐっと迫ってきて、
まるでその瞬間に立ち会っているかのように生々しく感じられます。
もちろん、デジタルを使っている写真家の作品は掲載されていません。
フィルムを使っている写真家のみ掲載されています。
1947年マグナム創設より以前、1930年代のキャパやブレッソンにはじまり、
以後10年の区切りで2010年のジム・ゴールドバーグまで紹介されていきます。
とにかくものすごいボリュームで大満足です。
写真家さん、写真が好きな人、勉強している人…、写真に関わる人は見て損はないですよ、これは。
写真ってこういうものだよな。と改めて、強く感じさせてくれる1冊です。
個人的にはアントワン・ダガダのベタを見られたのが良かったかな。
高いけど、お年玉で買いましょう。
マグナム・マグナム コンパクトバージョン(完全日本語版)
MAGNUM MAGNUM マグナム・マグナム (日本語版)の
コンパクトバージョンですが、普通に見るならこちらで十分です。
本家を一度図書館で見ましたが、デカすぎます(笑)
様々な写真が載っている中で、私が最も気になったのは
P196にある、ルース・ギルデンの写真“ 日本 浅草”です。
ヤクザ風の男が、迫力ある顔でタバコに火を点けてもらっているのですが、
これ、作家の安部譲二さんです。
16歳から暴力団の構成員となった彼(もちろん今はカタギですが)ですが、
撮影時はもちろん足を洗っていたはずです。
ただ、外国人カメラマンが観た日本人の怖さ、不気味さ、侍魂
そんなものを一瞬感じました。
たった一枚強烈なインパクトを感じました。
写真ってのは、見る側になんらかのインパクトを与える事が出来たら
それで成功だと思います。
まさに、この写真集は成功のオンパレードなのです。
Magnum創設に携わったキャパの精神が十分に感じられます。
写真をやってる人も、そうでない人も、十分に楽しめる、そして勉強になると思います。
多くの人におすすめです。
MAGNUM PHOTOS 世界を変える写真家たち [DVD]
劇場公開時に観て感銘を受けた
“世界最高の写真家集団”マグナム・フォトのドキュメンタリーが遂にDVD化。
製作年は1999年と古いものの、
ちょうどフィルムとデジタルが混在している時期で興味深い。
そして、変わった作風のマーティン・パーが正式なメンバーとなったタイミングで
それまでの“マグナム=報道写真家”のイメージが変わりつつある姿が
うまくとらえられている。
すでにこの世を去ってしまったアンリ・カルティエ=ブレッソンなどの姿もあり
後世に残る貴重な映像であることは間違いない。
写真家としての意義や存在、写真の未来が、世界の第一線で活躍している
現役の写真家たちが語る言葉は、ずしりと重く心に響いてくる。
そして、DVD化されるにあたり、
本編には登場しなかったエリオット・アーウィット、デニス・ストックなどの
インタビューが特典映像として収録されるのは嬉しい。
値段は少々高めとはいえ、マグナム・フォトの崇高さが収められているDVDとして
写真集などと共に手元に置いておきたいと思うドキュメンタリーだ。