ワーキングメモリと発達障害: 教師のための実践ガイド2
ワーキング・メモリとはどういう事か。
まず短期記憶というのがある。
あなたはドライブしている。道に迷ったので
道端のコンビニに行って、目的地までの道を聞き、車へ戻る。
その際、車に帰るまで道順を覚えていることが短期記憶である。
さて車に乗ってあなたは目的地に向かう。
その際、先ほど記憶した短期記憶を実際に活用する。
それがWorking(作業) Memory(記憶)なのである。
作業記憶という訳語を使えばわかりやすのだが、
最近のはやりは英語そのままである。
それはさておき、ワーキング・メモリの容量が小さいのが発達障害児である。
しかしこのワーキング・メモリはうまく子どもを養育することで使い勝手が良くなる、
というのが本書の趣旨である。
東北大学加齢医学研究所 川島隆太教授監修 ものすごく脳を鍛える5分間の鬼トレーニング
一ヶ月くらいやると、はじめにやった印象と変わるものもあります。一番、丁寧な作りだと感じたのは、なんと教授の存在。はじめたばかりは、少しうるさいかと思いましたが。まず、シリーズ作のような「むかっ」とする発言が極端に無くなりました。脳年齢を突きつけて上から目線に語ることも、ほぼ無いと言っていいです。そして、トレーニング中、上手いタイミングで声をかけくるのに、集中しているときは声をかけない、などの繊細なバランス感覚は、流石、任天堂ブランドと言わざるを得ないくらいです。簡素な作りですが、本当に手塩にかけて作った感じが伝わってきます。特に、一ヶ月続けていると、壁を感じるときが来ますが、壁を感じることは、脳が鍛えられている証拠、良いことだ、と繰り返し励ましてくれたことが、挫折防止にどれほど役に立ったことか。鬼トレは相当辛い部分もあり、下手な作りなら、挫折者続出でしょう。自分の場合も、2週間以上、成績がまったく変わらず、ある所で突然、伸びたりします。その2週間、飽きずに続けられたのは、こういう細かい配慮のおかげです。単純な見栄えですが、非常に作りこんであるソフトだと感じました。
ちなみに、鬼トレと脳トレは、鍛えている部分が違うなぁという印象が、一ヶ月の間、どんどん強くなります。ワーキングメモリは、微妙な部分みたいで、何かの切っ掛けで、覚えていたはずのものが、スポッと抜け落ちる、そんな脳の不思議な体験を味わえます。日常的にも、覚えようと思っているというより、何となく頭に残っている場面が出てきたり、面白いものです。
ワーキングメモリ―脳のメモ帳
著者はワーキングメモリのテストの開発を行ったこの分野では名の知れた方で、私も他の本などで著作を読んできたために迷わず購入しました。ワーキングメモリという概念がどういう研究問題から生まれ、という、その概念の変遷から始まり、言語使用との関係、その測定方法、第二言語学習(または外国語学習)における役割、年齢/加齢との関係、注意のメカニズムとの関係、そしてその神経基盤や様々な提唱されたワーキングメモリのモデルを紹介している。「記憶」全般を扱っている本は巷に幾らでもある。それらの本は、その全般的な性質から、焦点が一つに定まらず分散した感があり、広く慣れるという目的は達成できても、特定のテーマを掘り下げて扱うということに関しては向いていない。それに対し、これは、トピックを広くもとらず、また狭く限定することなく論じ、読んだ後には「学べた」という確かな実感を伴うものであった。また、実際の測定の方法などを活かして、本書が行動に結びつく、またはその掛け橋としての役割も十分に果たすものであることは間違いない。また、新しい情報も盛り込まれており、内容が時代遅れと感じることもなかった点も満足感を高めてくれた要因だと思う。2000年までに書かれた論文も多く引用し、この分野を概観するには十分な本であると感じた。
ワーキングメモリと学習指導―教師のための実践ガイド
ワーキングメモリとは何か。
それは、短期記憶と比較してみるとよく分かるかもしれない。
あなたがドライブをしているとする。
途中で道が分からなくなって、コンビニに聞きにいった。
コンビニの人は丁寧に道案内をしてくれた。さて、コンビニから車にもどるまで
教えてもらった情報をきちんと覚えられるかどうか。それが「短期記憶の領域」である。
続いて、あなたは再びハンドルを握って、目的地に向かう。
そのとき、先ほど聞いた情報を利用し目的地に向かう。それができるかどうかの能力。
それが「ワーキングメモリの領域」である。
つまり私なりの理解をすればワーキングメモリとは作業記憶ということになる。
このワーキングメモリが、発達障害者(学習障害・注意欠陥他動性障害・自閉症スペクトラム)では、
うまく働かないのではないかという立場に立っているのが本書である。
そのワーキングメモリ改善の実践例を示す。
私は素人だが、実感では、学習障害・注意欠陥他動性障害では、そのとおりだと思われるが、
自閉症スペクトラムでは若干メカニズムが違うのではないか。