火の山ー山猿記(上) (講談社文庫)
谷崎潤一郎賞を受賞したからそう感じるのかも知れませんが、何となく「細雪」を思い出しました。この作品の中でも、照子、笛子、杏子、桜子の四人の姉妹が、それぞれの性格の違いを的確に表現しつつ、「有森家」の「女」としての生き様を見事に表現しています。その強さは、火の山(富士山)や石に代表されるような「大地」や「自然」のそれのようです。
前半部分では、家に残って職業婦人として「家」を守っているのは笛子であり、後半部分の戦時の動乱時を支えるのは桜子です。その己を捨てても「男」を立てて「家」を守ろうという気迫や、その為には、何でもするという一途さが彼女たちの強さでしょう。
それに比べて、「男」たちの弱さはどうでしょうか。笛子の夫杉冬吾のナイーブさと言っていいような弱さは、酒に逃げて重大事を先送りし、ついには笛子との「愛」にも耐えられなくなってしまいます。「有森家」を守るべき勇太郎にしても、桜子や笛子の助けなしには、何も出来ません。
その女性たちの「強さ」の極致が、桜子の出産として描かれます。医者に何と言われようとも、女性としてどんなことがあっても子供を産むのが当たり前であり、それは自分の命を賭しても惜しくないものだと認識されています。
むしろ、ここにこそ女性の強さの原点があるのかも知れません。
火の山ー山猿記(下) (講談社文庫)
本屋に上巻がなく、しかたなく下巻から読み始めた。しかし、1ページ目の1行目に目を落としたとたんに、止まらなくなった。登場人物たちが動く、気持ちがわく、風景が見える。語りの仕掛けも巧みで、物語の奥行きと広がりは尋常でない。読後、私のこころのなかにも「火の山」があることを知らされた。すべての日本人のこころの底で、赤いまま活動を停止しているマグマに熱を与える力が、この小説に宿っている。
純情きらり 完全版 DVD-BOX 2
DVD-BOX第二巻において物語は戦争の時代を描きます。
互いに音楽を学び、励まし合い、愛し合っていた桜子
と達彦にも、戦争の影が忍びより、赤紙が来て、別離
の日が近づきます。
二人を見守る有森家の人々、山長の人々も切なさで
胸が一杯です。
「自分にとって達彦さんが一番大事」と気づいた桜子
は出征までの残りの時間を大切にして、達彦と過ごす
ことを決意します。
岡崎駅での達彦と桜子の別れは、涙の名場面が数多い
このドラマの中でも、その極まりを示すシーン、では
ないでしょうか?私は見る度に涙が溢れて、ハンカチ
をいつも濡らしています。
どんなことがあっても戦争だけはして欲しくないです。
純情きらり 総集編 [DVD]
朝のドラマの主演に新人ではなく、実績のある宮崎あおいを起用したのも、初めてなら
主人公が最後に死んでしまうのも初めて ですよね。
色んな意味で特別な作品です。視聴率もどんどん高くなって、達彦と桜子の結婚式で25%
超えを皆さんから愛された作品でした。
総集編は一度放映されて、色々なシーンがカットされて残念だったのが本音でした。
ファンとしては頑張って、完全版を買うしかないかな?と考えてしまいます。
但し、NHKの朝ドラマの総集編は特典映像がついているのが魅力です。このドラマのクランク
アップ集は良かったですよ。