バロック・マスターワークス (Baroque Masterpieces) (60CD)
CD枚数の割りに値段が安いのでどうかと思ったが、知人に勧められて購入。まず、音が良いことにびっくり。まだ10枚目までしか視聴していませんが、購入して絶対損はないと思います。
バッハ/ブランデンブルク協奏曲<全曲>
ブリュッヘン、クイケン兄弟、ビルスマそしてレオンハルトら、現在はそれぞれが独立し大家と化している奏者らが一堂に集まっていた頃の録音。ほとんどの楽器が奏者1名づつに配しているために、全曲においてソロやデュオを聴いているようです。スケールの大きな曲ですが、実は奏者も聴き手も楽しみながら耳を傾ける身近な曲だという事を改めて確認できるアルバムです。
特に好きな曲は第6番の第2楽章。これは最近コンタクトレンズのコマーシャルに使われました。しかもその演奏がこのアルバムの演奏を彷彿とさせるような小編成によるものです。
古楽の旗手たち―オリジナル楽器演奏のめざすもの
著者が自ら意図した出版ではなく、
逝去後に様々な文章の中からセレクトされたものを1冊にまとめた本。
著者は、芸大でトランペットを専攻、ポリドールレコードのクラシック部門に勤続しつつ、
リコーダーとバロック奏法を学び、執筆活動を展開。
「この10年ほど、音楽的な関心は古楽に集中して」きたと著者は書く。
「目隠しをされた馬車馬のように、自分の楽器や当面する曲にしか関心がなく、
解釈も演奏も従来型の通念を一様に押し当て、難技巧をひけらかすように“圧倒か、それとも失敗か”と奮闘する
クラシック音楽レースの競争者たちの演奏には関心が薄れた」という。
そのかわりに「のびやかに自由に開かれた態度で、作曲者、作品、楽器、楽譜、演奏慣習に興味を持ち、
音楽を名演奏の枠や価値観に固定せず、作品が内包する種々の可能性を、演奏を通じて解き放つ」
古楽に惹かれていった。
本の中には、その具体的事例がふんだんに記されている。
第1章に掲げられている3つの名前、
ブリュッヘン(リコーダー、指揮)、ビルスマ(チェロ)、インマゼール(鍵盤楽器、指揮)には
格段の思い入れがあり、読んでいると著者の前掲した姿勢と、息せき切ったような様子が伝わってくる。
この3人の場合は、ポートレート写真が掲載されていて、そのどれもが素晴らしい。
なかでもビルスマが、ステージの上に置かれたピアノの前でチェロを弾いている写真は、
左手で弦をおさえ、右手で弓を構え、やや小振りなチェロを演奏しているだけだが、
彼の表情と自然なチェロとの一体感は、何度見ても初めて見るような何かがあって、じっと見いってしまう。
巻末に黒田恭一氏の追悼の意を込めた推薦文がある。
ベスト・バッハ100
色んなレーベルから『ベスト100』がリリースされてますが、個人的にEMIさんの選曲が好きで
『ベスト・バロック100』と『ベスト・スピリチュアル100』も持ってます。
バッハはまだかなーと待ってたらやっと出たので、すぐ買いました。
第1楽章だけ、第4楽章だけといった中途半端な編成はなく、一曲を通して聴けるのでお薦めです。
例えば協奏曲は「急−緩−急」の3部構成が殆どなので、第2楽章だけ聴いても魅力が半減してしまうからです。
初めてバッハに触れた方は『ミサ曲ロ短調』だけでも全曲版で聴いて頂きたいです。
べスト100からベスト1を選ぶという愚の骨頂を敢えてするなら『2つのヴァイオリンのための協奏曲第2楽章』でしょうか…
音楽評論家の山本一太氏が「もしこの曲を聴いて心理的感情的反応を何も起こさないのであれば、
あなたは音楽が与えてくれる慰めなど全く必要とせずに人生を送ることができる人かもしれない」と仰っていて、然もありなん。
私のクラシック歴は20年以上。その間モーツァルトやベートーベンに傾倒したこともあります。
しかし、結局還るのはバッハなのです。クラシックを聴いて泣いたのもバッハだけ
(2曲あるのですが、内一曲は前述の『2つのヴァイオリンのための協奏曲第2楽章』)。
それでも全曲聴いたわけではなく、まだまだ知らない名曲が沢山あるのだと思います。
100曲も、ではなく100曲しかないって感じです。是非『ベスト・バッハ100 2』を作って欲しいです。
バッハ:ゴルトベルク変奏曲
いろいろな奏者のバッハを聞きましたが、真剣にバッハ演奏に取り組みたいと
考えたのはこのCDを聞いてからです。
レオンハルトの演奏についてどのようなものかと言えば、『ひたすら譜面に
忠実』であり『常に速さが一定』です。こう書くと非常につまらなさそうな
印象ですが、ゴルトべルクは鍵盤曲の中でも最高難度の曲なので、正確さ速さを
忠実に守って弾くのは大変な努力と集中力が必要であり、技術面は驚嘆するものが
あります。またなぜか単調さを感じさせずエンドレスで聴いてしまう魅力があります。
グールドのような情緒あふれるバッハを好まれる方にはこの演奏は物足りないかも
しれません。わたしはグールドも好きですが、レオンハルトのようにむきだしの飾り
ないバッハは、このシンプルでありながら高貴な音楽を、聴き手へダイレクトに伝えて
いるのでは、と考えます。
「バッハを極め理解したときにようやく、音楽とは何かを理解するとっかかりが
掴める」とはわたしの楽器の先生の言ですが、”極める”ことの困難さを
いまかみしめています。生きているうちに”理解”できればいいのですが。