松本清張傑作選 第一弾DVD-BOX
さすがに傑作選と謳っているだけあってその名に恥じない、良質なテレビドラマの傑作である。『ゼロの焦点』は2時間という長さを感じさせず、また、断崖絶壁での犯人の告白スタイルが取り入れられた記念すべき(?)作品。犯行動機の戦後の世相についても丁寧に描かれている。
『白い闇』『張込み』では珍しく吉永小百合がヒロインを演じている。後者での着物姿が清楚な美しさを引き立てている。こういったサスペンスも彼女にあっていると思わせる、そんな作品だ。
圧巻なのは十朱幸代主演の『二階』で、清張作品の映像化としては因果応報というようりは非情な、救われない凍りつくような結末で、観る者を狂気と混乱の世界に導く。一つの愛の形と言ってしまえばそれまでだが、あまりにも歪んだ皮肉な、そしてエゴイズムに満ちた人間の心理を抉り出した埋もれた名作である。
土曜ワイド劇場や火曜サスペンス劇場、ザ・サスペンスだけがサスペンスドラマではない。こうした作品群にもっともっとスポットライトを当てて、世に出してほしいものである。
疑惑 (文春文庫 (106‐67))
いつも最後の一文にぞっとします
今回の疑惑もごたぼうに漏れず、ぞっとさせられました
作品としては映画の方がドラマとして面白かったけど、リアル&ホラーな恐怖は原作清張に軍配が上がります
これでハマったら黒皮の手帳をどうぞ
同じくらいの、ぞっを味わえます
清張…社会派ミステリーというより、ホラー小説作家みたいです
愛だけを残せ
この曲を聴いて、中島みゆきはいつから強くなったのか、考えてみました。たぶん「夜を往け」あたりがはじまりだったのかな?今現在、日本国内だけで、1日に100人もの人たちが自ら命を絶ち、日本の自殺者は11年間で、3万人だといいます。「地上の星」やTOKIOに提供した「宙船」そして、この曲も、あまりにも文明が進化してしまったために、人は機械やPC発明したのに、今では人にとって変わられた存在となってしまい、こんな厳しい世の中で働いて、そして、負けそうになっている人たちへの必死のエールのように聴こえます。残念なことに、わたしにはとてもこの先も景気が良くなるなんて信じられませんが…。中島みゆきの歌を聴くと、いつも日本語が本来持っていた「強さ」を思い出させてくれる、ホント、オンリーワンの存在ですね。
松本清張傑作短篇コレクション〈上〉 (文春文庫)
第一章【巨匠の出発点】には「或る『小倉日記』伝」と「恐喝者」が、第二章【マイ・フェイバリット】には「一年半待て」「地方紙を買う女」「理外の理」「削除の復元」が、第三章【歌が聴こえる、絵が見える】には「捜査圏外の条件」と「真贋の森」の各短編が収められています。
このなかでは、今回初めて読んだ「削除の復元」が一番の収穫でした。「或る『小倉日記』伝」と同じく、小倉時代の森鴎外に焦点を当てた作品。鴎外の小倉日記に隠されたある謎が、登場人物の疑問と調査、推測という形で次第に明らかになってくる展開に引き込まれました。
また、「地方紙を買う女」「真贋の森」などは、以前読んだ時も大変面白いと感じた作品でしたが、今回読み返してみて、やはり面白いなあと堪能させられました。
第四章がひとつ、シリーズ3冊のなかでも個性的な切り口で、清張ワールドの一端を垣間見せてくれるもの。【「日本の黒い霧」は晴れたか】と題された第四章。ここでは清張のノンフィクション作品からの抜粋という形で、ふたつの作品を取り上げています。『昭和史発掘』から抜粋した「二・二六事件」と、『日本の黒い霧』から抜粋した「追放とレッド・パージ」。日本の現代史のなかでも特筆される事件にスポットライトを当て、そこに潜むドラマや歴史の闇、それらがうねり、胎動し、蠢く有り様を丹念に追いかけた記録。
読みやすいものではなく、中途で挫折しそうにもなりましたけれど、広大な清張ワールドにはこうした世界もあるのだ、そしてそれはおそらく清張作品のひとつの核となる部分でもあるのだろうと触れることができた、それだけでも収穫でした。
章ごとに水先案内役として、松本清張短編の紹介をされていく宮部みゆきさんの前口上。これがまた、その作品を読む気にさせてくれる、読み心をくすぐってくれるツボを押さえたものになっています。
松本清張セレクション 参<5枚組> [DVD]
私が小さいころから、父は毎年正月には「砂の器」のビデオをレンタルしてきて、見ていました。
別に暮らすようになってだいぶ経ちますが、生誕100年でDVDが出ていると知り、父のことを思い出して、クリスマスに贈りました。結果は、大喜びでした。正月に見てくれて「やっぱり名作だ!何度見ても良い!よく覚えてたね〜」。私自身は、だいぶ前に見たきりなので、うろ覚え。哀しいお話だなあと思った記憶だけですが、父が喜んでくれたので、私にとっても☆五つです。