蔭の棲みか (文春文庫)
作者は、在日朝鮮人。関西が物語の舞台。主人公ソバンと集落との物語。主人公はその集落の誕生からの歴史を見守る生証人として、その枯れた存在感が作品を重くしている。
盲目の主人公祐司、由子夫婦と盲目の少女美花、康先生親子をとおして在日韓国人の世界を描く「おっぱい」。
望、キム、繭子をとおして死と生と更正をとおして在日韓国人をえがく「舞台役者の孤独」を収録。
先生!中国語文法のここがわかりません!
微妙な使い方の違いや,日本語と混同しやすい単語・用法など、痒いところに手が届く一冊。
ただし、初学者がこの本で文法事項を学習するのは難しそう。
むしろ、実際に中国語で交流し始めた人がふと感じ、
考え始めたら余計わからなくなるような疑問に答えてくれる。
「了」の多種多様な使い方とか、「能看dong」と「看得dong」のニュアンスの違いとか、
「譲」「叫」の使役と受け身での使い方の違いとか、
読んでいてはっとさせられることも多かった。
それでもまだ自分の中で消化し切れない部分もあるが、
それは実際に使っていく中で慣れるしかないのだろうと思う。
それぞれの項目で、文法事項を箇条書きにして「まとめて」いるが、
これはあまり必要ないと思う。
公式みたいに提示されても、実際に使う場面でそんな公式思い浮かべる暇は無いわけで、
より多くの例文を収録してくれればさらに良かった。
CHARON (カロン) [DVD]
これは売るのに凄く苦労するだろう。観た瞬間そう思った。
映画としては素晴らしい。「しかしどういう映画?」と聞かれると「人間ドラマだね」とあいまいな答えになってしまう。
あえて言えばミステリーだ。ただ、それは犯人は誰かとかという謎解きではなく、人間と言うものの迷宮そのものをめぐるミステリーである。
また主人公は女だが、映画は疑う余地もなく男の映画だ。
自分を宇宙人と称し、この世界から離れたどこかに自分の場所があると考える女。
実はその考えこそが彼女を束縛するものであり、彼女の夢こそが彼女の未来を曇らせる。
そんな女とめぐり合う運命の男二人。まるで人間と人間がめぐりあう事そのものが一つの奇跡であるように。
男たちはこの夢見るというか現実に絶望したともいうべき女を守って行く事に使命を見出す。
夢を求める人間が現実から逃れられず、現実しか見えない人間が夢を見出してしまう皮肉。
むろん、この映画を実際に観た人は違うものを見出すだろう。それでいい。
この映画は観てからこんな映画だったんと観る人間の心の中で完結する。
観る前でなく観てからどういう映画かを語る。それが映画本来の姿のはずだから。