ピンクの心+2
ピチカートの野宮真貴のスタイリッシュなスタイルを知っているほとんどの人には、聴いた瞬間は、まるで80年代のアイドルソングのような無邪気なアルバムのように聴こえると思う。鈴木慶一&ハルメンズの面々が関わったということで、実は隠し味としてさまざまな遊びは含まれているのだが、それでもピチカートの東京のムードとは、別のアングラ的東京臭がするのがこのアルバム。これはお互い東京の音でありながら、ピチカートとムーンライダースが全く相反するバンドだったということで、全て説明できると思う。そして僕個人は、やはりピチカートにおける野宮真貴がいかに、小西との相性が良かったのかということを強く感じる。小西の歌を野宮ほど普遍性を持たせて歌ったボーカリストはいないし、逆にソロになってからの野宮を見ても分かるように、小西ほど野宮の個性を活かせる作曲家はいなかった。
野宮真貴のA to Z
つい先日、エッセイ「ドレスコードのすすめ」発売の時ラジオ出演していた野宮さんの話し方がとても素敵で、今さらですが野宮さん関係の本すべて買いました。ピチカートファイヴも野宮真貴さんも知ってはいたのですが、なぜか足を踏み入れてなかった私(すでに遅し…)。この本は野宮さんの年齢を感じさせないパワフルさとファッショナブルさ満載!デザインも60年代テイストのとってもオシャレな一冊。見ているだけで楽しいです
おしゃれに生きるヒント―50 Tips to Live in a Fashionable Way
「おしゃれ手帖」などから感じられる野宮真貴さんのおしゃれに対する姿勢・ポリシーにはいつも脱帽です。
今回の著書はタイトルにも表れている通り、おしゃれや恋についての考え・ヒントがいっぱい。これまでの著書のように歌手活動や足跡など細かい自伝的要素はありませんが、彼女がこれまでの経験を元に読者へ贈るメッセージ的な本です。
妻・母親などいくつもの顔を持つ彼女ならではのアドバイス(結婚や子育てなど)も書いてあり、これから大人の女性になる人にとってはぜひお手本にしたいところ。同世代の女性にとっても共感する点が多いかと思います。
載っているカラー写真の中にはすでにブログでお目にかかったものもありましたが、文の内容重視なのでそこは目をつぶりたいと思います。
野宮さんと言えばピチカート時代から見られるエキセントリックなイメージが強いけれど、粋で美しい夏の着物姿の写真は「こんな風に着物をさらりと着こなせるなんてカッコイイなぁ」と感じさせられました。さすがです。
改めておしゃれ心に火をつけてくれる一冊。読み手を意識した文章なのでとても読みやすく、ファンでない方にもオススメです。
30~Greatest Self Covers&More!!!~
本盤に封入された推薦文中に野宮真貴の呼称として「東洋のバービー人形」という言葉がある。さらりと流れる彼女の歌は、
強烈な自己主張はないけれど聴き手の気分に左右されず耳へと入り込み、着せ替え人形の様にどんな衣装=サウンドにも
フィットする。 彼女は多くのプロデューサーにとって制作意欲(調理欲)をそそられる存在なのではないか。それは「絶対に君
をスターにする」と野宮をP5の3代目ボーカリストへ口説いたという小西康陽も例外ではなかったと思う。
本作は、キャリア30周年を迎えた彼女が今改めて歌いたいと感じた14曲(内P5時代のナンバーが10曲)のセルフカヴァーに
、80年代彼女が在籍したバンド、ポータブルロック時代の発掘音源(M15)を収録したベスト盤的作品。
各曲にはあらゆる年代の個性的なプロデューサー陣が結集、P5時代を中心とした楽曲と野宮の声という素材を思い思いに
料理した賑やかな仕上がりだ。原曲へ思い入れの強い方には比較という意味で賛否はあるだろうが、私自身は原曲とは別
腹として楽しめた。アニバーサリー盤らしく全体に漂うキラキラしたお祭り感が良い。
各曲のアレンジは原曲寄りのものと大胆に組み替えたものに分けられるが、どの曲にも製作者の色が濃く滲む仕上がり。
まず「東京は夜の7時」。RIP SLIMEのDJ FUMIYAが施したアレンジは、エレ.クトロを基調にした洒脱なアレンジ。メタリックな
電子音や喧騒・電話のベル等を散りばめた疾走感ある創りは、夜都会の賑わう情景が浮かぶようで嬉しくなってしまう。
若手組からはP5ファンを自認するヒャダインによる「ベイビィ・ポータブル・ロック」。ファミコンの様な安っぽいピコピコ音やP5
へのオマージュとなる「new sound phonic spectacular」のナレーション等遊びに満ちた可愛らしい仕上がり。
口ロロプロデュースによる「トゥイギー・トゥイギー」。彼らは腹に響く強烈なビート・キックにピアノのクールな響きを乗せた
鋭角的なアレンジを用意、組み替え直したコード進行やリズムチェンジ等のトリッキーな創りは曲の新しい魅力を引き出した。
作品全体としてはこれら濃密でアクの強いサウンドを見事に乗りこなす野宮の声の魅力を再発見させられる創りとなっている。
雑誌のインタビューで彼女は「そろそろ、恋したくなるような浮き浮きするような曲をまた聴きたい、歌いたいと私は思うんです
ね。」と語る。閉塞感漂う世相を反映した音楽とことばが溢れる今、心に眩しい陽の光を当てる「ハッピーでキャッチー」な音楽
を届けてくれる彼女の存在は貴重だと私は思う。彼女やP5を知らない若い方に原曲への入口としてお薦めしてみたい。
RETROSPECTIVE-CITYBOYS LIVE![BOX3] [DVD]
「10年毎に変わるシティボーイズ」の黄金期。90年代演出家、三木聡と創り上げた作品の中でも、とりわけ最後のこの3作品は絶対オススメです。時代順にこの作品を見て行くと「真空」「夏への」「ウルトラシオシオ」の「夏への」が丁度アクセントになり、その両極「真空」と「ウルトラシオシオ」は別格「ウルトラシオシオ」の行くともう飽和して飽和して爆発寸前で爆発しているシュールさ「真空」での過去の三木・シティボーイズ作品への嬉しいオマージュ「リス鍋」と「ゴム脳」のメロディのリンク。温泉の廊下を行ったり来たりするコント再来。ピアノの粉末。「布団祭りじゃないんだからぁ!」とにかく最近の細川さんあたり演出のから入って三木時代を知らない人は絶対見て欲しい。三木聡とシティボーイズの組み合わせ、そしていとうせいこう、中村有仁は奇跡の配合でトリップ爆笑、頭ぶっとぶ。最高