キネマ旬報 2009年 8/1号 [雑誌]
本年度No.1の呼び声の高い映画サマーウォーズのキネ旬らしい熱のこもった記事がちょっと感動。巻末のライターのアマルフィ女神の報酬に脚本家がクレジットされていない事に対するコメントの「あのお粗末な出来では恥ずかしくて名前を載せられなかったのだろう」というのが一番面白かった。
巻頭の石原裕次郎特集は記録的な価値以上のものはなし。
日活100周年邦画クラシック GREAT20 狂った果実 HDリマスター版 [DVD]
ヌーベルヴァーグに大いなる影響を与えた(フランソワ・トリュフォーがはっきりと認めている)中平康、名作中の名作。
この作品がいわば呪縛となって、以降の中平康を苦しめたほどの完成度と、クールさとドライなタッチの中に奔流のような激しさを併せ持つ瑞々しい傑作。
某都知事の書いたストーリーは通俗的で陳腐だが、斬新な演出、撮影、そして佐藤勝と武満徹の音楽、この三位一体により、大袈裟でなく神話的なまでの映画史上の地位を要求する権利を持つ。
狂った果実―友人の姉と… (フランス書院文庫)
純粋に読み物としてよくできた作品。親友の姉と関係を結ぶことができて有頂天になる主人公に対し、ヒロインである姉は、実弟(つまり主人公の親友)とも秘めた関係があることから悩みを深める。そうした悩みと背徳の誘惑との間を行き交う後に全てが明るみとなるが、ここでハーレムな展開とはならず、極めて現実的な切ない結末を迎える。主人公とヒロイン、そしてその弟、全ての想いが交錯しながらのエンディングは、今は悲しいけどやがてそれがそれぞれにとって良い思い出になればいいかもね、とも思えるものである。冒頭より玄関先で交わるような官能的なセックスシーンもふんだんに盛り込まれている。
狂った果実 [DVD]
とにかく裕次郎が細く格好いい。
やはり私は、細身の裕次郎しか認めない。
太った裕次郎は、2代目で別人と見なしている。
本作では、伸びやかなシルエットのまぶしい裕次郎が堪能できる。
(私はホモではないが、カッコイイのです!)
無論、北原三枝も完璧で誰しも誘惑されたいと思うはずです。