警告!ますます広がるブラックバス汚染
この本は、ブラックバス問題に関して、前著「ブラックバスがメダカを食う」以降の動向を詳細にとりまとめたものである。ことバス問題について言えば、インターネット上に氾濫する玉石混淆の情報から信頼に足る必要なものだけを抜き出すことはよほどの知識がないと難しい。そもそもホームページや掲示板などで反対の立場にある人たちを茶化したり小馬鹿にしたりするような者たちの言うことなどは信用できない。しかし、この本を読めば、バス問題に関する最新の情報や動向を迅速かつ正確に理解できるはずだ。なぜなら、著名人を名指しで批判などという物々しいキャッチフレーズからは想像もできないほど誠実な文体で書き綴られており、バス擁護派の著作にありがちなレトリックや詐術的手法が一切用いられていないからだ。様々な立場の人たちへの取材から得られた事実をストレートに伝えているので、記述されていることを実に素直に受け入れることができる。著者らが所属する生物多様性研究会が釣魚議員連盟に送付した質問状に対して、日釣振が議員に圧力をかけて回答を拒否させた経緯など、直接関わった人たちでないと知り得ない情報も満載されており、通常では報道されない内容も知ることができる。著者の秋月氏は駆除釣り大会も認めるべきではないと最後に述べている。これは釣りという手法による駆除の禁止とイコールではないだろう。日本に蔓延したバスをどのような理念の下に駆除すべきなのかを考えれば、氏の真意が見えてくると思われる。バス問題に関わる人たちはもちろん、社会的責任を担うすべての人たち!に読んでもらい、次世代に伝えて欲しい内容の一冊である。