俺の知らない内田裕也は俺の知ってる宇宙の夕焼け
あがた森魚60才を越えて堂々の代表作だ! 1曲目からグイグイ惹き込まれていく…川口の空にスプートニク瞬き荒川にパナマ運河を視る「キューポラ・ノワール」,幽玄でどこか幻想的な「渓谷鉄道」… いつになくバラエティに富んだ曲調 研ぎ澄まされた歌詞 何よりもヴォーカルが明快で力強い 中身はあがた森魚的世界そのものだけれど いまだに成熟しつつ進化してることに恐ろしささえ感じる あがた森魚 デビュー40年にして絶好調! それにしてもあがた森魚ってすごく美しい曲を書く人だ(;O;),
NIKKATSU COLLECTION コミック雑誌なんかいらない! [DVD]
1985年は日本が未曾有の好景気を迎えアゲアゲになる「予兆」のような年であり
なんていうか、今と違い社会にエネルギーが充満していて
起こる事件も、そのエネルギーの間違った方向への噴出といった趣のものが多かった
そういう意味で、85年に起きた象徴的事件の数々をを再現した感のある、この映画は当時の世相・ムードを知る上で、また、当時を過ごした人たちがあの時のノスタルジーに浸る意味で、最高の一本といえる
ただ、前のレビューの方がおっしゃるとおり、御巣鷹山の日航機墜落
この映画ではその犠牲となった方々の肉片などが事故現場の樹木に絡まったりする
衝撃的なストップモーションのシーンがあったのだが、今回のDVDでは
それがカットされてしまっている
これはまあ、諸般の事情があることを察することができるのだが、ちょうど現在において民事再生法が適用された日航のある意味「歴史」であるわけだし、フォーカス・フライデーといった写真週刊誌の「仁義なき」加熱報道の悪しき「歴史」という意味でも、ここはノーカットで出してほしかったなあと
そういった意味で多少の減点はありまするが、やはり観る価値のある一本に間違いはないです
たとえば内田裕也演じるところのキナメリが、山一戦争でいきりたつヤクザを取材に行って(これはリアルな突撃撮影でしょう)、屈強のヤクザにすごまれ、小声で「キャメラ、カット」と言うあたり、なかなかでした
人間コク宝
タレント本書評家という訳のわからない肩書きを持つ吉田氏ですが、その名に恥じぬ仕事ぶりです。とにかくタイトルの通り内容が濃すぎます。読者はインタビューされている有名人達のパブリックイメージを増幅させられ、時には覆させられる事に驚くでしょう。
濃すぎて全員読みきれていませんが、圧巻は中山一也と倉本聰との会話のくだり。立川談志のイリュージョンも飛び越えてます。とにかく面白すぎて痺れるトークの連続。
星4つの意味は注釈にイマイチ面白みに欠けたこと。吉田氏の注釈はいつも茶化しが多く楽しみの一つだが、今回は割りと普通の注釈が多い気が。まあ対象の人物の人間関係が危なすぎて仕方ないんだけど。
インタビューされてる有名人に興味を持っている方、サブカル指向な方は当然楽しめますが、本当はゴールデンタイムのテレビなんかを今時楽しんでるような、俗に言う「普通の人々」にこそ読んでもらいたい本です。個人的には真木蔵人の独特の喋り方を活字におこしてもらっただけでお腹一杯な一冊です。読め!である。
松田優作 ALIVE ~アンビバレンス~ 公式海賊盤 DVD-BOX 初回限定版
仕方ないとは言え、画像・音質共に良いとは言えません。念のため。
でも、そこには、汗にまみれて「音楽」と真剣に対峙する優作がいる。
時には映画以上のスリルを、フィジカルな彼の魅力を3DISKに封じ込めた今回の企画に感謝します。
生命のDANCE!!
コアな優作ファンを自認する方は必見です!!
そして、新しい世代の優作ファンにも是非観て、聴いて頂きたい。
ただ一つ残念なのは、歌詞の記載が未発表曲に限られているところ。本人自筆ということもあり、これはこれで貴重なのですが、他の収録曲の歌詞も付属のブックレットに記載して欲しかった。
全部ではないけれど、大半の詩が優作自身によって書かれたものだし、一部聴き取りづらいところもあるので。
そのほうが、初めて彼の歌を聴く人には親切だったんじゃないかと思います。
「詩」の中にも、優作ワールドは炸裂していますから!
ロング・グッバイのあとで ―ザ・タイガースでピーと呼ばれた男―
タレント本、波乱万丈自伝の範疇を超える滋味がある。ほろ苦い「大人の本」である。
◇ザ・タイガースの魅力は5人の「優しさと哀しさ」
友情と感謝を下敷きに波乱万丈の人生自伝が綴られていく。かつてのアイドル女性ファンは、いまでは人生経験豊かな人々だ。さまざまな想いを抱くことだろう。
まず貧しかった少年時代と複雑な境遇の吐露に情が動く。10代後半から20代の第1の青春、ザ・タイガースの昇華と別れの時代。ここまではそれとなく想像できる。問題は20代から30代前半の第2の青春からだ。学生・院生・高校教員スタートの時代、そして教員時代、中国とのかかわりを語っていく。へーっそうだったんですか、それで・・・という読み手におこる一体感はなんだろう。そしてメンバー再会と音楽活動再開までの道のりへ。
沢田研二らがNHKTV番組で「ロンググッドバイ」を唄って瞳みのるに呼びかけ、それが返歌を生み、また元マネジャーの影の努力も絡み、再会に連なっていく話はまるで夢物語のようである。
◇4つの都市を語る
東京に住む読者に京都と大阪の「空気感」がわかるだろうか。少年からザ・タイガース全国デビューまでの前半部分、京都、大阪時代のくだりはややグロテスクな描写もあり、ちょっぴりピカレスク味だ。ただし見事に50年代から60年代の京都の青春と風俗と生活を活写していて、たとえば映画「パッチギ」をほうふつさせる。大阪の音楽喫茶、ナンバ一番(現在はほんとにここ?という雰囲気だが)、岸里住まい、バンドボーイのくだりもエネルギッシュ。坂本スミ子、古谷充、大塚善章氏とのつながりが出てきたのに驚く(ついでにカルーセル麻紀、和田アキ子も)。同時期の関西フォークとともに「カオスの都市60年代大阪」が躍動する描写だ。
そして東京。六本木キャンティでの出会いから始まる柴田錬三郎氏との深い交友。文革後の北京での留学生生活(これは貴重な歴史ネタ)。現地生活体験から来るニュートラルな中国人の行動と価値観あれこれ紹介は興味深い。
著者は都市が好きだと再三語る。都市にすむ人間模様に力がこもる。
食べ物の話も常に絡んでいる。調理師免許まで持っていて、飲食店の経営も考えたことがあるようだ。
中国料理には造詣が深く持論には納得してしまう。
ところで自慢話や暴露話に走らず、淡々としてフラットな語り口ながら、「世の中には変な奴がいるものだ」、「伝記を書かせろストーカー教授」、「へんてこな中国語」などの話は格を下げてしまうので避けたほうがよかったように思うが、「しょーもないこといい」「あかんやろそれツッコミ」がこの人らしいこだわりなのかもしれない。
◇60年代京都が生んだ2つの歴史的バンド
ザ・タイガース。どこか哀しさや愁いが漂う。京都という土地が生む雰囲気か。新幹線で偶然隣合せたザ・フォーク・クルセダーズメンバーだった精神分析学者北山修氏との語らいの場面がある。
この街は歴史に残る2つのバンドを生んだ。
ところでザ・タイガースを描いた大人の映画あるいは舞台は生まれてくるだろうか。