モノトーンミュージアムRPG リプレイ&データブック インカルツァンド (ログインテーブルトークRPGシリーズ)
本書は他のシステムでいう上級ルールブックに相当します。
内容も前半のリプレイ、追加技能、装備、ワールドガイド(基本ルールの内容を詳細にしたものですが、これがまた独特の世界で、読んでて楽しいです。)となっており、構成そのもので目新しいものはほとんどありませんが、逆に言うと、システムがSRSということもあって、とっつきやすい内容になっています(A5サイズで使いやすいのもいいですね。)。
ただ、実は本書で最も注目すべきはなのは、前半のリプレイなのではと思います。
このモノトーンミュージアムの世界は、情報量はともかくとして、世界観の独特さは、かのルーンクエストに匹敵するような、正に異世界です。なにしろ、ほとんどの人も国も己の運命に縛られ、それに逆らうことは異形化に繋がる世界なのです。どんな不幸な運命であろうが、人も国も受け入れようとします。
幸い神の与える運命は基本良いものなのですが、なんとPCの敵はこの運命を悪い方向に改竄出来ます(この敵を倒して改竄を打ち消すのが、セッションの主な目的になります。)。
そんな世界で、一体どんなシナリオを作ればいいのか? と考える方も少なくないでしょう(私もそんな一人でした。)。その問いに一つの回答を与えてくれるのが、このリプレイです。
普通に読んでも楽しいですが、『運命(御標)を変えられたことで、世界にどんな影響が出るか』『独特なキャラの個性や葛藤の表現』等、色々勉強になりました(リプレイを読んで勉強になった、と感じたのは久しぶりです)。
本当は基本ルールにつけて欲しかった位の内容なんですが・・・・・まあ、それは個人の意見ということで。
基本ルールを読んで内容を気に入っている方、実際のプレイを予定されている方には手にとって欲しい一冊です。
DVDのお手本をまねるだけ!聞いて・見て・吹ける!フルート入門 DVD付 (シンコー・ミュージックMOOK)
DVDは、実際にフルートを吹いている時の指使いが写されていて(フルートのすぐ後ろ上からのカメラアングル)、工夫が感じられますが、それでも分かりにくいです。
アニメーションで、こういう指使いをしているという表現のほうが良かったのでは。
テキストとDVDの連係も、DVDを見ている時に「テキストのここが映っているのかな?」と、
考えなければならず、直感的には分からないので、今一つだと思います。
BIG EGG WRESTLING UNIVERSE 憧夢超女大戦 [DVD]
この頃のプロレスは、メジャー団体、格闘技系、インディー団体、女子プロと最も活気の有った群雄割拠の戦国時代、最初で最後に成ってしまったのは、飽きやすいプロレスファンの責任だと思います。しかしもう存在しない団体だからかそこが逆に余計に輝いて見えるから良かったのかも…日ごろの鍛練を怠らない選手達も個々の素晴らしいエンターテイメント・主張が有り感涙モンですが、主催者側の数々の悲劇的な末路もありとあらゆる経営の難しさを伝える…興味ない人には大袈裟かもしれないけれども一時代を築いて滅んでしまった集合体の伝記かなぁと思います。プロレスファン女子プロレスファンは買って損はありません。 補足:この頃は特にプロレス専門誌のボリュームが今と比べものに成りません。ドームクラスのビッグマッチは必ず増刊号が発行されていた時代です。私達がしりえない時代にもまたプロレスブームが来る事を願って、レビューを終わりとします。
半熟作家と“文学少女”な編集者 (ファミ通文庫)
文学少女シリーズの最後を飾る本作、長編かと思っていたのですが表題作を含む4作の連作短編となっています。
本編で主人公だった遠子が本作の主人公である「半熟作家」こと雀宮快斗の担当編集者となり、
この2人のコンビで問題を解決するというシリーズ定番のパターンが展開されます。
本編は毎回古典的名作をモチーフにしたエピソードが軸となりますが、それは今回も変わらず、
短編ながらそれぞれきちんと見せ場が用意されていて飽きさせません。
ただ、あくまで短編集なのでいつも感心させられる構成の見事さや伏線回収の妙は今回は味わえないなあと
読みながら少し物足りなく感じていたのですが、決してそんなことはありませんでした。
短編集の体裁を取りながらその裏でもう一つの物語が綴られていき、
とても暖かで希望のあるエンディングを迎えます。シリーズの大きな魅力であった卓越した構成力は今回も健在でした。
個人的には過去シリーズで不憫に思っていたある人の補完がされていたのがとても嬉しかったです。
シリーズの最後を飾るのにふさわしい作品だとは思いますが、何名か魅力的なキャラも出てきたのに
これで終わりというのはすこし残念な気もします。
そんな名残惜しい気分に浸るまもなく、5月末には新シリーズがリリースされるとのこと、
今度はファンタジックな学園もののようで、こちらもとても楽しみですね。
名前のない女たち 2 (宝島社文庫)
「幸せ」意外はすべて経験した。
この言葉は『名前の無い女たち2』の帯に書かれてる宣伝文句。
なかなかショッキングなキャッチコピーだなーなんて思うんですけど、この本の内容のすごさから、あながち誇張でもないなーなんて思うわけです。
この本は企画AV女優のインタビューとそれにまつわるルポタージュで構成されているんです。
この本に出てくる女性たちは、当然ながら裸と性を売り物にしている人たちなんですよね。で、彼女たちの多くは自分の仕事に対して誇りを持っている。自信を持っているって答えてるんですけど、作者がインタビューを続けていくうちに、その態度が徐々に変わり始める。
この作者、残酷なまでに女性たちの核心に迫っていきます。どんどん女性たちの虚勢の鎧をはいでいって本心をむき出しにしていく過程は壮絶です。
やくざな世界に身をおき、その中で自分の感覚を腐らせてしまった女性、本心とは裏腹に、その世界でしか生きられなくなった女性、リストカットする変わりにビデオに出演し自らを苦しめる(自称する)女性。
読んでいて気分が悪くなることがあります。それでも読ませてしまう作者の文章がすごいです。
この作者、風俗の世界に身をおきながら、風俗というものをひどく嫌っているように見受けられる。もしかしたら、その手のものに接触していない人間よりもさらにまともなんではないかと思わせます。そんな人が中から眺めるアダルトビデオの世界、人間の弱さを実感させられます。