ヒッチコック・コレクションBOX II [DVD]
ヒッチのcoreなファンから言わせれば、このセレクションは嬉しいものとそうでもないものが入っていますよね。後期と言うよりはむしろ晩年の作品群。『鳥』が最も知られているものであり、恐らくはこのセットの目玉なのでしょうが、『鳥』のすばらしさはよく言われているところだし、この際置いときましょう。(ちなみにヒッチコック=鳥と思っている初心者には、他の作品群をお薦めします。)フレンジーは、晩年パワーを失ったヒッチが再び往年の輝きを見せた作品と言われています。その練られたブラックユーモアと『見せない』怖さのカメラワークは一見の価値あり。ある人物が家に女性を招き入れた後のカメラの引きのすばらしさ。なんにも見えないのに怖い。うーんネタ晴らしになるからこれ以上言えない。観たことない方は是非。
ヒッチコックに進路を取れ
山田宏一と和田 誠。映画通のふたりが、アルフレッド・ヒッチコック監督の映画作品について自由に、気軽に語っていく対談集。「ヒッチコック映画、だーい好き」「この映画のね、ここがとっても面白いんだ」「この映画には、こんな裏話があるんだよね」などなど、サスペンス映画の巨匠の作品を語り合っていくふたりの生き生きとして楽しい雰囲気が、とてもいいですね。ヒッチコック映画のファンのひとりとして、画面ならぬ本の頁に釘付け状態。久しぶりにあの映画、この映画の忘れがたいシーンが蘇ってきて、夢中にさせられました。
例えば、『泥棒成金』の項。Y(山田)が、<ヒッチコックはケーリー・グラントに「グレース・ケリーとキスさせてやるから」と言って映画に誘ったらしいよ(笑)。ケーリー・グラントも「グレース・ケリーとならぜひキスしたい」(笑)と出演を承諾したって言っている。>と語るところ。思わず、「へーっ。あの映画の裏にはそういうことがあったのかー」と、心の声を上げていました。この次、『泥棒成金』見る時は、今まで以上にキスシーンに注目だあ(笑)
ヒッチコック映画を語るうちに、ほかの色んな映画の名前がそれからそれへと挙がってくるのも面白かった。『スミス夫妻』の項で、スクリューボール・コメディの秀作がずらずらっと挙がってくる件りなんか、「すげぇー」て感じで拍手したくなりましたねぇ。で、そこ(本書の96〜97頁)に出ている作品の中から、前から「見てみたいなあ」と気になっていた映画のDVDをたまらず、注文してしまいました。
という副産物もあったり、ヒッチコック映画をまた見てみたくなったり、本書はいろんな意味で面白く、興趣が尽きません。
引き裂かれたカーテン [DVD]
ヒッキコック監督50作、P.ニューマンとJ.アンドリュースの主演、題材として冷戦時代のスパイもの、ヒッチコックらしい演出(個人的にはバスでの脱出劇のスリルとサスペンスが好きですが)で楽しめますが、全体としての描写が活字的で説明的な盛り込みが多く、往年の映像、俳優の演技・演出によるサスペンスは希薄な感が否めず、ヒッチコック作品としては物足りなさを感じたことも事実です。
ヒッチコック映画音楽集/「知りすぎた男」他
1996年作品、
バーナード・ハーマン作品をサロネン指揮、ロサンゼルス・フィル演奏でおくる映画音楽集、
この邦盤は品切れですが、輸入盤では通常に購入可能、検索はクラシック・ジャンルでsalonenと入力すれば見つかります、
本CDがちょっとポイント高いとすればサロネンがノーマン・ベイツになったつもりらしいジャケットでしょう、