サヴァイヴ
ロードレースの世界で奮闘する若者を描いた小説の三部作目。
本作はエピソードがいくつかに分れており、
それぞれのエピソードで主人公が違います。
冒頭こそ、一作目(サクリファイス)、二作目(エデン)で、
主人公を演じた?白石誓がエピソードの主人公として登場します。
なので、いままでの白石の活躍や奮闘を期待して、
本作を買うと、裏切られた感があるのでご注意下さい。
エピソードの主人公を演じているのは、3人くらいでしょうか。
一作目で舞台となった日本の自転車チーム「チーム・オッジ」で、
エースとして登場したクライマーの石尾豪。
オッジで白石誓と同期だったスプリンターの伊庭。
オッジの最年長で、チームのまとめ役だった、
石尾の忠実なアシスト・赤城などです。
本作では、彼らチーム・オッジ当時のメンバーが、
それぞれのエピソードの主人公を演じています。
タイトルや作品の雰囲気からすると、
本作の主人公は石尾豪ですかね。
近藤さんの書くレースシーンが好きです。
伊庭や石尾それぞれにある、ペダルを踏む意味や目的も、
アスリート然としていて、個人的に好き。
個人的には白石の活躍を期待していたので、
冒頭の注意喚起は個人的趣向によるものです。
アシカラズ。
二作目とは違い、
一作目の物語背景がふんだんに盛り込まれているので、
「一作目を読んで面白かった人へオススメ」の本です。
私のように、白石の奮闘を期待するとやはり肩透かしなので、
そこもご注意下さい。
なので、本作は★3つ。
そうは言っても、石尾の姿には心が熱くなりました。
テラオ The next generation machine 3巻 (ビームコミックス) (BEAM COMIX)
実はアタシはまだ1、2巻は読んでおらずこの巻から入りました。
タカマルからの延長で(というよりはアスキー〜エンタメでのるるる先生作品は全て繋がっているのですが)引き続きキャラが出る、とは聞いていましたが蓮沼さんが実にイイです。
「相変わらず」とタイトルしましたがむしろパワーアップしてます。蓮沼可愛いナァ(笑)
ワールドも先生のテイストをしっかりと込められており安心して読めました。
追記
中のチラシで知りましたが画集出るんスか?むむ、ズルいぞエンタメアタシのハートをガッチリキャッチですね。
コンプリート・オブ・近藤房之助 at the BEING studio
だけど、どうしても日本人のブルースってこんな感じにしかならないんでしょうか?
もう一歩踏み込んで、まさにこれがだれもまねのできない近藤房之助だ!ってとこまで行って欲しいです。
あっ!それがBBクインーズ?アメリカかぶれからの脱却・・・
たたら製鉄〔吉備考古ライブラリィ10〕 (吉備考古ライブラリィ (10))
製鉄遺跡についての教養本というものは、今までほとんど出版さていないと思う。この本の巻末参考文献を見ると、すべて発掘報告書か専門書だけなのがそれを示しているだろう。専門書を読んでたたら製鉄とは何だったのか知るのは非常に難しいと思う。古墳とは違い、実測図や発掘中の写真を見ても、当時どういう形で、どういう製鉄をしていたのか分かりにくいからである。この本の記述はそれらと比べると記述も専門用語を出来うる限り排除し、非常に分かりやすい。ただ出来るなら現地にいって復元遺跡か、ジオラマを見ることをお勧めする。
古代を考える場合は『製鉄』というものが最大のキーポイントになる。特に弥生から古墳時代にかけては『鉄』をめぐって、ダイナミックにクニが動いた(私の考えでは吉備は東遷したのだからまさに文字通りクニが動いたのである。)のだから、この遺跡を理解することが最も重要なのである。昔から吉備の地は枕言葉で「まがね吹く」と詠われてきた。『まがね』という以上、単なる鉄の加工ではない、おそらく当時のクニグニで初めて『製鉄』に成功したのがこの地域であったのだろうと私は思う。実際現在日本で最古級の千引カナクロ谷遺跡は吉備北に位置している。ただ私は6Cが最古だとは思わない。きっと弥生時代にこの吉備地方で『製鉄』は始まったはずだ。この本を読みながら、この本に書いていないことをしきりに考えた。
ユリイカ2008年10月臨時増刊号 総特集=杉浦日向子
表紙の写真がいい。これを撮ったのはアラーキーこと、荒木経惟さんだろうか。最初に子供の頃からの写真が載っているが、溌剌としたお嬢さんの頃の脚が写っている貴重な写真もある。難しい漫画論や江戸論なども載っているが、一番読み応えがあるのは、短いながらも中島梓といしかわじゅんの文であろう。
中島梓さんは2009年に亡くなられているので、この文はかなり死を意識して書かれてあるが、実際文中に「もしかしたら、それほど遠からぬ未来に彼女のいる《あちらの国》へゆくことになるかもしれない」とも書いているのだが、これが思わず吹いてしまうほど面白いのだ。最後の終わり方もいい。いしかわじゅんさんは短い文で杉浦日向子の本質を鷲づかみにしている。
中沢新一との対談、全篇カラーの「三味線枕」の再録、「ソ連」の仲間の雑談、「吉良供養」の下書きなど盛りだくさんで、杉浦ファンなら値段相応の本といえる。