中国残留日本人―「棄民」の経過と、帰国後の苦難
この本の1番良いところは、中国残留を余儀なくされた日本人の
長年にわたる苦難を紹介するだけにとどまらず、彼らを生み出し
その子孫に至るまでに 多大な苦難を招いた、日本政府の国策を
しっかりと突いているところにあると思う。
日本政府が“国策”として、敗戦ギリギリまで 一般日本人家族を
満州に送り続けた事実、戦況が悪化すると、年寄りや、女、子供を
襲撃の真っ只中に置き去りにした事実、敗戦後の孤児政策も同様、
言葉の壁をもち 弱い立場にある日本人を蔑ろにした事実等々、
政府の国策を問いただす1冊である。
浅野慎一氏の“異国の父母―中国残留孤児を育てた養父母の群像”
と一緒に読むと、更に理解が深まると思う。