Now Is the Time
このジェフローバーフュージョンとしての、彼のニューアルバムを初めて聞いたとき、非常に洗練され、そしてまた大きく進化したジェフの音作りに、正直このミュージシャンの引き出しの多さ、奥の深さに畏敬の念さえ覚えました。
ウォーター・サイン彼の初期の代表曲と言ってもよい「Water sign」「Rain dance」←(リルキムもカバーしています)の変貌には驚きと戸惑いもありましたが、聴き進んでいくと、本当にまたこれはこれで、非常に味があって今は大のお気に入りです。
他の曲も、昔のものと較べてもJeff Lorber Fusion当時のスピリットとパワーを保ちながらも、より洗練されそして進化しています。
もちろん新曲も Very Good!
参加ミュージシャンもさすがです、自然なまでの余裕の一体感。
聞く場所も、季節も選ばない、それぞれのシチュエーションに不思議とマッチしてしまいます。
それくらいセンスも、リズムも、サウンドも素晴らしい一枚だと思います。
ギャラクシアン
御案内させていただきます。スラップベースがはねまくるファンキーチューンからスタート。これなどまさしくR&B。ジェフローバーが激しく黒人音楽に『傾斜して、かつdedicate』していた時期。サウンド的には『エレクトロディスコ』と言えばわかるはず。バンド内には黒人2名。そしてまだまだ若造の=ケニーGがスケール練習のような単調でへんなフルートソロを聞かせています。
バンマスのジェフはやはりインストオンリーの楽曲では(2)、現在のスムーズジャズのプロトタイプとでも言えそうなマテリアルを披露。今から24年前の録音ですのでさすがにシンセはアナログメイン。
80年代頭ですでにスムーズジャズ的なアプローチを開始していたのはすごいのだけれど、『楽曲のパターンがマンネリ化していた』こともこれまた事実。シンセで『跳ねるリズムを刻み、かつ本来ボーカリストが歌うラインをなぞる手法』も手あかがつきすぎで新鮮みが薄れていた時期=フュージョンが衰退してるという時期=。
特にどうのこうのはないのですが、『ディスコリズム』『ファンキーなシンセプレー』『マイルドでレイドバックしたサウンド』『ボーカルが入ったR&B』を許せる心の広いかたに合うかも。ずばりいえば『テレビの天気予報の番組のバックに流す』のに最適かも。自分の生活を乱さない安全な音楽が必要な人にも合うかもしれない。このアルバムだけで判断すればケニーGには残念ながら才能がないと思われ(テクはあるよ)。トータルでこれだという楽曲が散見できず残念。
(5点)
ギャラクシー
このアルバムの作りにJimmy Haslipは無いだろう・・・って事で、曲によっては生ベース抜きだったりする。この作りなら、バッチリさんは、Alex Alか、Nate Philippsじゃないでしょうか。
全曲聴き終えた後の感想がそれなので、JeffのR&B趣味もここに極まれり、といった趣向です。
しかし、Jeff Lorberは、JazzとR&Bの"Fusion"が個性の人なので、そのどちらかが曲によって、また曲の中でもフレーズによってその割合を変える特異体質。今回はそのブレンドに、フューチャリングゲスト、Jazz GuitaristのLarry Konnseを招いています。
Larryご本人のアルバムは、Fusionじゃなくて、Joe Passを彷彿とさせる癒し系ドJazzだったりする。この人は、前作の"Now Is The Time"中、"チャイニーズ・メディスン・ハーブ"でソロをとっていた人で、今回は4曲に参加。よっぽど気に入ったんだろうなぁ(そのプラスワンの役目が、何故かJimmy Haslipのプレイじゃない所も、悲しいものがある。まぁプロデュースに徹したんでしょうw)
アルバム自体の出来は流石で、ボーカルが無い分、前作の"Now Is The Time"より硬派な出来に仕上がってます。ナンパな前作も良かったけど、本作の方が好きですわ。自分。
ダウンライト・アップライト
女房役にヴィニー・カリウタ、曲毎に、ジェフ・ローバーとジョージ・デュークがピアノ、ボニー・ジェイムスとゲィリー・ミークがサックスというオーソドックスな構成。ブロムバーグは一貫してウッドベースを弾き倒しています。好きなのは、当アルバムの中でも一番グルーヴィな、"Shag Carpet"。"Jaco"の"Chicken"、前作"Choices"の"Bass Face"のような横ユレ系。シンセや打ち込みはほとんど無く、シンプルなプレイで、普通だったらドJazzな雰囲気を醸し出す所を、Fusion?と思わせてしまう微妙なアレンジセンス、プレイが詰まっています。また、'06年6月中旬に行ったブルー・ノート東京での公演は、ドラムにウェックル、ローバー、ゲィリー・ミーク、そしてtpにリック・ブラウンが加わるという布陣で、当アルバムの曲からChameleon、Cold Duck Time等の黒ファンクな曲を演奏。勿論、全員のソロ廻し付きなので、かなり楽しめました。嬉しかったのが、アンコールに"Chiken"やってくれた事かなぁ。また、CDで聞けるソロ部分では、両手を使ってウッドベースを叩いてました・・・ヴィジュアル的にもかなり楽しめる、ライヴを前提にしたアルバムです。お勧め。
ポートレイト・オブ・ジャコ
厳しい事を書かせてもらう。
総じてイージーリスニングなアレンジであり、
良く言えばベーシストの枠を超えた作品なのかもしれない。
しかし、ジャコの音楽性を継承したものではなく、
一般受けを狙った作品で、コアなジャズでない。
もっとウッドを前に出した作品かと思ったら、
以外にエレキを多様してある。
ポートレイト・オブ・トレイシーなどは素晴らしいが、
タッピング、スラップなどは無駄な音が多く、
ウッテン、ボナが登場した今、一昔前の音数重視のテクニックで興ざめ感がある。
ウッドも横振動メインで、
もっとズドンズドンという低音も出し、
コントラストをつけて欲しかった。
ウッドでジャコに真正面から向き合った作品だと思っていた私の思い込みもあるが、
少し残念であった。
しかし、勿論悪い作品ではない!
勘違いしていただきたくないのは、
一般的な聴き方をすれば、星4.5というところだ。
ジャコファンには星3つという評価である。