心の底をのぞいたら (ちくま文庫)
中学生くらいを対象に書かれています。子供向けの心理学入門書というよりは、心理学そのものに興味をもたせるための本です。この本を読んで、心のしくみについてもっと勉強してみたいと思う未来の心理学者が現れるかもしれません。子供に分かりやすいたとえ話で進められていますが、内容は本格的で、大人でも読み返してしまうところもあります。「友情とか社交性とかは、人間が自分の本能的に持っている攻撃性を抑えるために、強められていくものだ。」と言う箇所など印象的でした。
権威と権力――いうことをきかせる原理・きく原理 (岩波新書 青版 C-36)
権力とは何かというテーマで、手にとった本。1974年に出版された本であるようだか、書かれている内容は2011年の今でも全く色褪せていない。今も起きている日本の政治や、外国の政治の問題への一つの見方として応用が出来ると思った。
私の印象に残ったのは、次のようなテーマだった。
権力と権威の関係、権威の正体について、日常生活に潜む権威を利用した暗示について、革命とは何か、権力闘争とは何か、まとまりのない日本の政治が目指すべき基本的な考え方は何か、親と子の関係、子供がどの様に自我を持つようになるか。
民族という名の宗教―人をまとめる原理・排除する原理 (岩波新書)
「人をまとめる原理・排除する原理」、この副題が気になって
本書を手に取り、一通り目を通してみました。著者ともう一人の
話者との間の対話を通じて、色々な新鮮な視点を教えてもらった
感じがします。なだいなださんの、物事の本質を鋭くえぐり出す
冷静な思考を、文章を通じて観ることができ、自分の中の歴史認
識の甘さや視点の脆弱さを垣間見る羽目になりました。しかし、
それは不快ではなく快感に近いものです。歴史や人間に対する認
識が少し変化したようです。
「『資本論』を全て読んで理解している社会主義支援者はどれ
ほどいるか?」この文章を見て「面白そうだ」と感じたならば、
一度この本を「自分の」目でしっかりと読み通してほしいと思い
ます。「他人の」受け売りではなく、「自分の」判断でこの本の
内容を評価してほしいからです。あえてこのような意味深な書き
方をしたのは、この本に通底している、なだいなださんの考え方
に賛同しているからです。しかし、それは「信じた」わけではな
く、「自分の」判断で「理解し」たからです。
このレビューに対して、なにかボヤけた印象を持つ方もおられ
ると思いますが、この800字程度の短い文章の中で論じること
ができるほど、テーマは簡単ではないと判断したので、あえてネ
タばらしは避けました。ご自分の目と頭を使って、この本の内容
を評価してほしいと思います。きっと何かしらプラスの具材にな
ると「信じて」います。