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壁に描かれたパリの地図。地図に書き込まれていく自分史。…あの自分史にアレックス(≒カラックス)はいまでも書き込んでいるのだろうか。
私にとって、レオス・カラックス監督といえば本作の次の傑作『汚れた血』だ。 蒼いハイコントラストな美しい映像と、詩的な台詞、美しいパリの夜、破綻すれすれでやたらに未成熟なのに(だからこそ?)胸を突く物語。…本作とも共通する要素だとおもう。
『あなたの映画、想像がつくわ』とは、本作の劇中のヒロインの台詞だが、この映画は確かに『汚れた血』の土台となっているのが感じられる。
本作の初見は80年代末。 その時は『汚れた血』と違って退屈な印象しか残らなかった…が、今回久しぶりに再見すると、その未成熟さに惹かれた…。若さの喜びよりも辛さとエゴが…寂しさが…迫ってくる。 それに、私自身が年を取ったことにより感じ方が変わったこともあるのかもしれない。(特に、15分にも及ぶキッチンでの二人の会話シーンが素晴らしい。昔は退屈に感じたのだけど)
『僕らはすでに退役軍人なんだ』
本作は痛みと痛みが出合う物語だ。遊びの要素がなく…余裕もなく…非常にストイックだ。そして、男女が出会う物語には違いないが、私には恋愛映画にみえない。痛みだけで構成されているように感じる。そこが生々しく感じられる。彼らにまとわりつく 死の匂い。観るべき青春映画に違いない。
だが、
若いということは苦しみなのだろうか…。カラックスが創作に向かう動機はどこからうまれるのだろう…。カラックスの映画を観ているとそんなことを思ってしまう。 自分の五臓六腑を切り開くようなことをして創っているように見える。幸せだったのだろうか…と。
『自己破壊から逃げるんだ』
劇中でアレックスがそう言う。はたして、逃げることは出来たのだろうか。
30年近くたった今、カラックスは本作を入れても長編は4本しか撮っていない。10年以上長編の新作が発表されていない。『恐るべき子供』は50歳を過ぎ今も未成熟なのだろうか。どんな自分史をつけているのだろう。 もう…カラックスの新作映画は想像がつかなくなってしまった。
…と、いったかんじで感想というか妄想を散々書きましたが(申し訳ない…)、本ソフトについてチョッとだけ書くと、本編の画質、音質は良好です。映像特典はドニ・ラヴァンのカメラテストが初々しくて好ましい。また、リハーサルや別テイク集はそれなりに興味深いものの音質画質共によいとは言えません。ついでに、ジャケットデザインは個人的には好みです。
未成熟な傑作『汚れた血』 に直接繋がる非常に興味深い一本だとおもいます。
ベスト・クラシック100
そのときの気分によってCDを選べます。そのCD6枚から1枚のCDを選ぶ楽しさは、宝石箱をあけるようです。「初心者向け」とか、「選曲がいまいち」とのレビューもありましたが、CD6枚でこのお値段です。
私はとても納得して楽しんでいます。また、CD6枚分のコンパクトな収納もよく、旅行にも持っていけそうです。このCDの解説書が1枚の紙ではなく小冊子だったら、もっと良かったです。
ケロ猫のタンゴ
今年よりケロロ軍曹のエンディングとなった。このエンディングのアニメーションはほのぼのとして非常にかわいい。
往年のヒット曲「黒猫のタンゴ」をパロッたもの。唄うのは同じ皆川おさむらしいが…しかしその声は全く違っていて…???という感じ。でもつい聴き入ってしまう。
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