野菊の墓 (まんが日本の文学)
松田聖子が主演した映画でも知られる、恋愛小説の名作です。ストーリーは単純です。幼なじみとして育った政夫と民子がお互いに対して恋心を抱くようになりますが、民子の方が年上なので当時(明治中旬)の常識では結婚することはできません。運命に引き裂かれる二人の悲劇と純粋さを描いた作品です。単純なストーリーだけに、ストーリー展開で読ませるというよりは、二人の心情をいかに描くかがポイントになるわけですが、伊藤左千夫はさすがに本職が歌人だけあって、古くさい文体であるにもかかわらず、現代人にも確実に詩情を感じさせる見事な描写となっています。
女性の方が年上だから結婚できないなんてことは、もちろん現代の日本ではまずありません。親が縁談を持ってきたら、たとえ嫌でも従わなければならないなんてことも滅多にないでしょう。だから現代の日本ではこんな悲劇は基本的に起きません。しかし、そうした抑圧の解消と共に、現代の日本では民子のような純粋さもなくなってしまったような気がしてならないのは僕だけでしょうか。
下妻物語 (フラワーコミックス)
噂は酷評が多いけど、読むと結構おもしろかった。
この漫画で嶽本野ばらさんを知ったんだけど、
どっちかというと漫画の方が読みやすい気がした。
もともとの嶽本野ばらファンの人には面白くないかもしれない。
巻末についてる、下妻物語以外の話が個人的に好き。
この人はロリータとかマニアックな路線より、
普通の少女漫画の方が上手いと思った。