ライフ・アクアティック コレクターズ・エディション(初回限定生産) [DVD]
良い意味で、間延びしたユーモア感覚が楽しめる、奇妙なテイストの逸品だ。特に、ビル・マーレィとアンジェリカ・ヒューストンの夫婦の掛け合いの“間”の絶妙さは、思わずクスクスしてしまう事、確実だ。いい歳こいた大人たちが、記録映画撮影の旗印のもと、“探検ごっこ”に興じる様は、バカバカしくもうらやましい限り。キッチュな造形の生物や、探査船の断面セットも楽しい。ケイト・ブランシェットやウイレム・デフォーも出演する賑やかな群集劇と言った一面もあり、思わず、ロバート・アルトマンの映画を連想してしまうが(モチロン、アルトマンほど、シニカルではないが)、それもそのはず、かってのアルトマン一家の、懐かしやバッド・コートやジェフ・ゴールドブラムも出演している。それにしても、「マッシュ」や「BIRD★SH○T」(検閲されます~笑)で、トンボ眼鏡のオタク少年ぽかったコートが、、、老けたねぇ(笑)。
ライフアクアティック・スタジオセッションズ
シティ・オブ・ゴッドに出演したセウ・ジョルジのアコースティックによる弾き語り。14曲中12曲がボウイのカバーでハンキー・ドリーから5曲、ジギーから6曲、ダイアモンド・ドッグスから1曲です。
深い低音&かすれ声で歌うボウイの曲はかなり印象はちがいますがやさしさがあっていいです。ポルトガル語で歌ってるので必死に歌詞を聴いてみましたがライフ・オン・マーズの『ミッキー・マウス』もクイック・サンドの『チャーチル』も聴き取れませんでした・・・ボサノヴァにアレンジしたレベル・レベルやプラシーボのブライアン・モロコの弾き語りに迫るファイブ・イヤーズなどセウ・ジョルジが歌う事によってボウイの曲が違う一面を見せてくれたように感じる作品です。
(最後になりましたがオリジナル2曲もかなりいいです)
ライフ・アクアティック [DVD]
これほど美しく感動的な映画を見た記憶はほとんどないと思えるくらい、すばらしく思った。個人的にはウェス・アンダーソン監督はこの一作をもってもはや巨匠といって差し支えない位置に立ったというか、古今の名作のリストに一つ新たなタイトルを加えたとすら思えた。この映画自体が、作中映画のようなある意味胡散臭い映画なのだが、この映画におけるさまざまな“怪しい”意匠をウソと否定しまうと、観客はこの映画の冒頭の作中映画を批判した小賢しい観客と同じ位置に自分を落としてしまうことになる。主人公があえてネッドを信じたように観客は映画のできごとをまるごとそのまま信じることで、すばらしい世界に出合うことができる。撮影も音楽も何もかもが美しく、ワンカットごとに息を呑む思いがした。音楽がデヴィッド・ボウイなのだが、ボウイ独特の胡散臭くてあざといようでナイーブで美しい世界観がこれまたとても合っていた。劇場で見たかった……。
ライフ・アクアティック [DVD]
60年代〜70年代の子供の描く未来の夢的な独特な世界感。
本当に子供が描いた見取り図のような夢の船内シーンやカメラを背負ったイルカ達、(時々丸窓からのぞく姿が最高にかわいっくて笑えます。)不可思議な海洋生物、昔っぽいベタなイメージそのままの潜水艦、あえてリアルを追求せずわざと作り物感をだして子供の夢ワールドに近づけようとしたセンスと努力がすばらしいです。
冒険王やら宇宙ステーションやら海洋生物学やら地底探検やらクストーなどにあこがれた愛すべき子供時代を思い出し本当にうれしくなってしまう世界です。
音楽もすばらしいです。
まずテーマ曲(シャーク・アッタク・テーマ)にやられました。特に乗務員全員がお揃いのユニフォームで昔のスパイ映画ののりで救出作戦に乗り出すシーンでの音楽の効果は見事でユーモア+うれしさもあまって思わず笑ってしまいます。
セウ・ジョルジによる60年代的弾き語りボサノバ演奏が全編にちりばめられていてヌーベルバーグ風小粋な感じで素敵です。
でも音楽や美術だけでなくきちんとねられたストーリーと脚本、キャラクターがあってからこそ生きてきているのがまさにウェス・アンダーソンの素晴らしさです。
笑いあり、涙ありで大人になりきれない傷ついた人々に送るまさに愛ある作品です。
毎回ながらウェス作品の登場人物のキャラの描き方の見事さにはホントまいります。
主役のビル・マーレイの演じる破天荒な船長は当然ながらウェス・アンダーソンファミリーといっていいオーウェン・ウィルソン、意外なおよびでない3枚目的役所なのに見事にはまっていたウイリアム・デフォー、かっこいい妻役のアンジェリカ・ヒューストン(女性からみてほれぼれします。ホントかっこよかった)、ケイト・ブランシェットなどなど豪華な顔ぶれ。
そしてどの役にもはずれなし。
登場人物全員が大好きになります。
すべての登場人物のファンになりました。