暴走する資本主義
オバマ民主党大統領候補の政策アドバイザーである著者の今後の政策方針と
考えてもらって差し支えない本です。
まず超資本主義とは資本主義が行き過ぎて民主主義を犠牲にしている状態だと
考えています。
具体的には
消費者は価格の安いものを求める。
企業と政治家とのロビー活動は莫大な政治献金を要している。そして
企業は利潤を求めて環境問題も石油よりも安価にできる製品しか行なわない。
株主優位の企業統治が民主主義を駆逐する。
これによって出てくる弊害に
所得格差。食品の安全性を脅かされる。
環境破壊、医療保険制度を受けられない人々の
増加及び制度が浸透せずなどがあります。
著者はこの超資本主義の対策として(処方箋)
法人税の撤廃、雇用を通した社会保障を全廃。
企業が社会責任(CSR)を手控える。
実際、民主党政権を実現すれば「ロビー活動との一線を画する。
ロビイストの政治献金を受け入れない」との声明文をオバマ議員は
表明しています。
これはブッシュ政権が石油企業との癒着があったことを覆す事にも
起因しています。
しかし現実的に考えてみれば、この処方箋を簡単に実現するとは考えにくい、
実現しにくいと当然、考えられます。
この最終章の処方箋はかなり難題です。
本全体を読み通してみて米国経済の歴史から超資本主義の実例、特に
IT企業と政治献金はかなり読み応えあり、各章の骨子もしっかりしています。
最近の「日本経済の復活はこうすれば実現する」系統の日本の書籍は
解決策ばかり取り上げて、実際の談合などの弊害が如何にそれを阻止するのが
難しいかを取り上げていません。
この本の現実的な難題を取り上げている事を見習って欲しいものです。
日本沈没 1(余震編) (プラチナコミックス)
さいとう・プロの劇画で、主人公の顔がゴルゴ13なのに面食らうが、すぐになれるので心配は要らない。
いわずとしれた小松左京の「日本沈没」のコミックなのではあるが、若い人には新鮮かもしれない。というか、たまたま(これが「たまたま」なのか深い計算のうえなのかということも考えてみると面白いのであるが)同じようなテーマを扱ったかわぐちかいじの「太陽の黙示録」(特に第1巻)と同時期に出たこともあり、読み比べるのも面白かろう。
原作が小松左京ということもあり、科学的な記述には問題がない。第1巻で特筆できるのはバチスカーフの原理が非常に分かりやすく説明されていることだろう。このことだけでも読む値打ちがあったと思っている。
余震(アフターショック) そして中間層がいなくなる
2011年10月現在、「ウォール街を占拠せよ」(Occupy Wall Street)をスローガンとする運動が継続している。参加者が語る「我々は99%だ」を理解するには、本書が適切である。
本書は、中間層が枯れていくアメリカ経済の姿を歴史的な経済の流れから解きお越し、2011年現在のアメリカ経済を描く。
格差がより鋭利に姿を現した時代の社会・経済分析として、一読したい。
運動には、高揚期もあれば衰退期、停滞期もあるが、「ウォール街を占拠せよ」が、
ウェブサイトや、TwitterやSNSサイトなどのツールを用い、どの様に展開すしていくのかも注目したい。