横柄巫女と宰相陛下 楽園の塔 (ルルル文庫)
第6巻にして、連続6ヶ月刊行の一冊目。
ノトの女官長だったオディルが星神官としてミィノ地方のメダスへと旅立ってひと月、なんの便りも無いことを不安に思っていたところに、別の女官の失踪事件が起こり…。
ノトは遠方参拝という行事でミィノ地方の神殿へ。カノンは女官失踪事件の調査と先代宮廷の禍根のためにメダスへと向かい、しっかり一緒に行動していました(笑)。
前巻で、カノン陛下はノトへの、ノトはカノンへの自分の気持ちは向けてはいけないもの、忘れるべきものと決心していたので、どうなっちゃうのかと心配していたのですが。
ノトと二人でいると、どうにも陛下は自分の気持ちを抑える事が難しいようです。そしてこの巻の事件の解決に絡めて、ある意味カノンは開き直った。ノトにしても「恋」をその前の「好き」に戻そうと頑張っていたけれど上手くいかず。この二人は、別々に同じ事を考えちゃってました。しかし陛下はまだ現実の「政略結婚」と、この気持ちを二つながら抱えていこうと思っているようです…。うぅ…。
今回のエピソードは、ちょっと、いろいろ乗り切れませんでした。藍の民の拐取事件にしても、どうして王宮の女官とか王都の神殿から城付の神殿に赴任してきた星神官とか、行方が知れなくなったら捜されそうな人を狙ったのか。それもこの年は二人も?と疑問に思っちゃったし。ノトが人質になった時、剣を捨てたカノンは「両手を上げ」ちゃったし。
6ヶ月連続刊行は嬉しいけれど、ワキが甘くならないよう、二人の仲がちゃんと進むようお願いしたいです。
余談ですが、ルルル文庫HPの連続刊行記念「リリィ様日記」が、実は本編より面白くってこちらには★5つつけたいです。しかしこちらのリリィ様のお相手、元ポッチャリさん?。
暗殺姫のアドレッセンス -陰謀は金のツンデレ殿下- (ビーズログ文庫)
前巻の王宮乗り込み事件より半年。七星城で従者として勤しむレティシアとレオンはそれなりに城の中に溶けこんでいます。
そこへキリアンの弟、第二王子のユーシスが七星城へと単身、押しかけて来る。そして売り言葉に買い言葉…と言うか、けっこう力業な流れでレティシアを「もらい受ける!」と連れて行ってしまいます。
キリアン暗殺の証拠を探そうとユーシスとともに行く事を選んだレティシアは観察眼鋭くユーシスの本心を見抜くのだけど…。
こんなふうに育って、こんな子で、こういう娘になってます、と言う具体的なエピソードは書かれていないので彼女の『色』が薄っぺらい。私としては、この『色』を掴みかねているため彼女にシンクロしずらくて。
心根が「正統派良い子」な分、いかにも作りものめいてしまうのが残念です。元々、設定と話の展開が自分にはストンと来ないために読み流してしまったのか、レティシアとキリアン、主役の二人はお互いのどこが心の琴線に触れたのかはっきり掴めていないのもあります。
ツンデレ王子の孤独の裏と、彼が彼として受け入れられた事で心情的に互いに一目惚れしたんだな、と思うのがしっくりくるかも。
そういう意味では、せっかくのラブも今のところ充分堪能出来ていません。場面はばっちり入ってるんだけど、根本がくすぶってしまったためラブ好きとして★が上がらない・・・。
ただ、前巻で魔剣イヴァが『白』の姫に関してキリアンに告げた事が利害の点で矛盾すると、収まりが悪かったのが今回キリアンがそこに気がついて伏線になったり、レティシアが突いた核心とかレオンの含みとか、ちゃんと組まれている作りは先を知りたいと思わせてくれました。
そしてやっぱりクラリッサ嬢がいいです。黒い暗殺犬やレオンに関する発言からこぼれるキリアン評やレティシアへの評価等、一本取られます。