北神伝綺 (下) (角川コミックス・エース 125-2)
下巻では、江戸川乱歩、北一輝などが登場する。また、姉妹作品である『木島日記』のキャラクターも出演している。『北神伝綺』という物語は、昭和初期に実在した人物と同名の登場人物が居たり、本当に起こった事件を扱ったりしているが、勿論100%フィクションである。当然の事であるが・・・。しかし、フィクションであるからこそ、混沌とした近代の日本をリアルに描き出しているのではないかと思う。
この作品を読むと、日本史がどれだけ正確なモノなのか疑問を持たずにいられない。そういった不確かなものが歴史の魅力の一つだったりもするのかなぁ・・・と考えたりもする。作者の大塚英志は大学時代に民俗学を専攻しており、彼の恩師は柳田國男の弟子であったという。大塚英志は恩師に「民俗学は偽史に他ならない」と言われたそうである。結局、歴史というものは国家によって創造され、捏造され、現在に至っているのだ。
この物語の中に存在する妄想は人を魅了する。たまにはこんな作品にドップリと浸かってみるのもいいのではないかと思う。
北神伝綺 (下) (ニュータイプ100%コミックス)
下巻では、江戸川乱歩、北一輝などが登場する。また、姉妹作品である『木島日記』のキャラクターも出演している。『北神伝綺』という物語は、昭和初期に実在した人物と同名の登場人物が居たり、本当に起こった事件を扱ったりしているが、勿論100%フィクションである。当然の事であるが・・・。しかし、フィクションであるからこそ、混沌とした近代の日本をリアルに描き出しているのではないかと思う。
この作品を読むと、日本史がどれだけ正確なモノなのか疑問を持たずにいられない。そういった不確かなものが歴史の魅力の一つだったりもするのかなぁ・・・と考えたりもする。作者の大塚英志は大学時代に民俗学を専攻しており、彼の恩師は柳田國男の弟子であったという。大塚英志は恩師に「民俗学は偽史に他ならない」と言われたそうである。結局、歴史というものは国家によって創造され、捏造され、現在に至っているのだ。
この物語の中に存在する妄想は人を魅了する。たまにはこんな作品にドップリと浸かってみるのもいいのではないかと思う。
三つ目の夢二 1 (リュウコミックス)
今回久々の大塚氏のシリーズだったので購入しました。
私は新装版の木島日記から入った口なのですが、画を担当する方が変わってもあまりイヤな風にはかんじませんでした(むしろ女性はかわいくなった(笑))。
また、新しい人とタッグを組むというのは勇気のいることだし、その点は評価できると思います。ただ、ストーリー自体にあまり新鮮味が無かったので少し減点しました。面白くない、というわけではないんですがね。
北神伝綺 (上) (角川コミックス・エース)
「木島日記」と同じく原作=大塚英志、絵=森美夏のタッグ。
国家と時代の風潮に迎合するため自説「山人が日本の先住民」説を否定し、山人の撲滅に協力する柳田國男。
柳田に破門されながらも「山人」説と山人の存在に関わりながら生きる兵頭北神。
「山人」を伝説上の存在ではなく、迫害され絶滅させられた少数民族として描いていることが秀逸。
過去に実在した人物と同じ名前の登場人物が多数登場する。
(兵頭北神と同名の人物も実在したと巻末にあるが、不明。著者のブラフか?)
昭和の時代背景にほぼ忠実に作られ、実際の事件も多数登場する。
有名な人物ばかり登場させすぎて、ややまとまりに欠く印象でもある。
1話ごとに一つずつのトピックに集中しているので、話はわかりやすい。が「木島」で見せる混沌感はない。
絵はねっとりと味があるが親切ではなく、意味不明のコマもある。
わからないといえば、各登場人物の目的も背景も不明で、柳田が山人を追う理由も、北神の仕込み杖も、滝子との本当の関係も、よくわからない。
柳田に冷遇される弟子として、折口が1コマ登場する。「木島」の折口と同じ顔なのが興味深い。