ショパン:ワルツ集
ショパンのワルツには楽譜の版によって音がかなり違うものがあり、演奏家がどの版を使うかによって違った曲のように聞こえてしまうものもあります。また収録されている曲数や順番も違うので、19曲全曲を収めたこのCDは、かなり珍しいものと言えるでしょう。
ところで、このカツァリスの演奏は他のどの演奏家とも違います。他の演奏家のCDとよく聞き比べてみると(楽譜を見ながらだともっといいですが)、明らかに音が増えています。しかも、大抵は曲を壊してしまうそのような音が、曲をより美しくしているのです。他の演奏家とは「ちがう」演奏が楽しめるので、とてもおすすめのCDです。
また、カツァリスは「旋律の魔術師」という異名を持っています。それは音を足すのと同時に、普段はあまり注目されていない副旋律を、前面に打ち出して弾く為です。ここでは第7番・第10番に非常に顕著なので、ぜひオーディオの前でじっくりと聞いてみてください。
ショパン:バラード集&スケルツォ集
有無を言わせぬ技巧が凄い。そして速い。そういう演奏はバラードには向かないが、スケルツォは爽快でいい方向に出ていると思う。よってスケルツォがお勧め。少し個性が強いので、万人向けではないかも。