「空腹」が人を健康にする
一般人向けにすごく分かりやすく書かれていると感じました。
最近話題の「サーチュイン遺伝子」について取り上げ、日本人の飽食と不健康に警告を
鳴らしており、私も小食についてはそのとおりだと思うので、ぜひ実践してみたいと
感じました。
ただ、一面的で、事実と異なると思われる記述もあり、著者はもう少し深く調べてから
内容を書いて欲しいと感じました。以下に、疑問に思ったところを述べます。
【基本的に、著者自身の体験を基に書かれている】
基本的に、著者が実践した体験と知識のみで、こうだ、と決め付けている部分が多いと感じました。
ですが、年齢、性別や体質によって個人差がありますので、著者がやってみて成功した
ことが万人にとって良いとは限らないと思います。
例えば、水分を頻繁に取る必要はあまり無い、著者は朝、水を飲まない、と書かれていますが
私の場合は汗かきで、水分をとらないとすぐにだるくなったり、便秘や膀胱炎、脱水症
などを引き起こしてしまったりするので、当てはまりません。
ですので、もっと多くの人に実践してもらった結果に基づいた記述があれば、と思いました。
【出生率と飢餓について】
飢餓状態である国ほど出生率が高い、生命力遺伝子が働いている、という記述があります。
これは一面的な見方ではないかと思います。
確かに、それは真実かもしれませんが、
貧しい国では子供が労働力になる、他に娯楽がない、乳児死亡率が高いため、保険として
沢山の子を妊娠する必要がある、教育が受けられず結婚も早い、という背景もあり
総合して出生率が高いと思われるからです。
【お茶、コーヒー飲料についての記述が疑問】
お茶について、カフェインやタンニンが含まれていて毒である、
と書かれています。確かにお茶には弱毒性があり、空腹時に飲んだ場合、作用が強すぎて気分が悪くなる場合
があります。
しかし、お茶には、タンニン、カフェイン以外にも多くの有用物質が含まれており
免疫賦活作用や、抗がん作用が臨床試験で認められています。
お茶、コーヒー飲料は薬と同じで、良い作用も、毒になる作用も両方持ち合わせている飲料であり、
体に有用な面が優れていたからこそ、古来から飲まれてきたのだと思います。
ですので、一概に毒だと言い切ってしまうのはどうでしょうか。
【野菜・果物の皮を食べることについて】
著者はゴボウや果物などの皮を食べることを勧めています。栄養的には確かに素晴らしいと思うのですが
現在、根菜類は特に、農薬を使わないで安価に作ることはほとんど不可能です。
農薬や化学肥料がまずどこに蓄積するかと言えば、表面の皮の部分です。
ですので、皮を食べる方法は安全性に非常に疑問を感じます。
もし、農薬などの化学物質を落とす方法があれば、一緒に記述しておいてほしいと思います。
【空腹への対処法があまりかかれていない】
なぜ、肥満が問題視されているかということに、「人間が食べ物への誘惑に勝てない」という
ことがあげられると思います。急に一日一食にした場合、低血糖でめまいがして倒れそうになったり
手足がしびれたり、空腹に耐えられなくなりイライラする、ということが起こると思いますが、
そうした問題がおこるということや、対処法が
「ビスケットや果物を食べる」以外は詳しく書かれていません。
もっと詳細な記述が欲しかったです。
【生物との共生の記述について】
「蚊は我々と共生したがっているのに、人間はそうではない、かゆみを起こさせるのも人間側だ」
蚊と共生しようよ、というような(?)ことが書かれていますが、蚊で最も恐ろしいのは
致死性の伝染病を起こさせるウィルスを媒介することです。現代日本だとあまり分かりませんが…
それで人間は、本能的に蚊を忌避するようになったのだと思うのですが…
本筋の「空腹で健康になる、おなかがグーッとなると若返り遺伝子が活性化する」というところは
非常にイメージしやすいので、私もやってみようと思います。
ただ、もっと細かいところまで練られていたら、説得力があったのにと思います。