巴里に死す (新潮文庫 せ 1-2)
巴里に死す
待望の復刊書を買って読み終えた。表紙の絵が実に美しい。芹沢光治良自作の絵と知りまた驚いた。文字が大きく本が軽い。読書好きにはたまらない。それになんといっても付録が充実している。当時の情景を呼び起こすパリのインタビュー記事や書評など。大江健三郎氏の本書の書評と解説が明晰で面白い。故遠藤周作氏の解説もこの作品に射しこんでいる不思議な光を鋭く捉え、「この小説があの国で大きな反響をよんだのは、けだし当然のことである」と括っている。芹沢が日本人として初めてノーベル文学賞候補になった背景と理由がよりはっきりした。
人間の運命 1 (新潮文庫 せ 1-5)
著者の自伝的小説 明治後期に沼津の貧しい漁村で生まれた主人公次郎が数奇の人生を繰り広げていくなかで、家族とは、友人とは、神とは、何か、人生で出会う数々の問題に対する答えの道しるべを提示していく 物語の後半では第2次大戦に至る過程、戦後の混乱期を描写していき、日本人はどのような道徳観をもつべきかを諭してくれる全国民必読の著である