キッチンから愛をこめて
正直に言うと、これほどの内容だとは想像していなかった。
間違いなく「あの豊島たずみ」が、このアルバムの中にいる。
LPレコードの「とまどいトワイライト・STILL NIGHT・淑女のたしなみ・LONELY ONE」で聞くあの声、雰囲気。全く衰えなど無いどころか、より一層魅力を増している。録音状態も秀逸。
「真円の月」と「証」が特に良かった。「今日を生きよう」は、彼女の近況報告なのか。
とにかく「陶酔と感動をありがとう」と彼女に言いたい。
とまどいトワイライト
おそらく一発屋扱いになるであろう豊島たづみの、
唯一ヒットした曲が収録されているアルバムであるが、
これが、非常に良い感じである。
オリジナルの発売は79年である。
そもそもドラマの主題歌で作られた
「とまどいトワイライト」だったが、
一度だけテレビで歌っている姿を見る機会があって、
「全てを突き放したようなボーカル」に対し、
今まで「歌い上げるボーカル」しか知らなかった私は、
非常に鮮烈な印象を残した。
当時は、ブラコン的なソウルディスコが全盛の時代に、
典型的なフォークとそろそろ流行の兆しが出てきた
ニューミュージックの音をウマく配列させた、
とても秀作の歌であった。
このアルバムは、そのような曲だけではなく、
わりと、いろいろな曲にトライしているが、
全体の仕上がりが、非常に良い形のポップスな感じで、
いま聴いても、非常に耳にきれいに残る。
いま・・・どうしているのだろうか?
このボーカルは、この時代に聴けば、
味わいのある・・・そう・・・ちょっと加藤登紀子に似た、
素敵なボーカルだと思うが・・・。