アレルヤ (双葉文庫)
軽快かつまとわりつくような奇妙な感覚につつまれながら一気に読み終えた。読んだあとの微妙な爽快感。この微妙さが病みつきになる。次回作がどう出るかが楽しみ。「明るい敗北者」は実は現代の勝者だと思って生きてればいいじじゃないか!!下北住人は必読!
アレルヤ
理想も願望も愛情も。生産行為という足かせは、図らずもボクらを拘束する。賢く拘束される道を行くか?生産を虚脱と同等に貶めるか?
そんなヘルタースケルターのど真ん中に入り込んだとき、きっとこの本は何かを教えてくれる。
考えるな!声を出して、歩け!そしてその発声と鼓動に集中しろ!
ロックに美しくも意味がなかった頃に戻せ!
いつか虚脱さえもリズムを刻みはじめるのだろう。
「アレルヤ」はもう次の小節に進んでいる。
冬の旅 Wintertime Voyage
一度目読むと重たさが心を支配する。しかし、もう一度読まずにはいられない。そして、読み終えた後に、人生について考えることを強くせまられる。
もちろん哲学書ではない。しかし、下降線を辿る生活を綴った本書こそ、2011年を生きる、42歳の心を捉えた。
前半戦を引っ張りすぎた男の一人として、それを美学と思い込もうとしていた男の一人として、「冬の旅」は、後半戦と向き合う覚悟を与えてくれた。
小説への敬意、自分の心への誠実さを感じさせる文章。
詩のような、音楽のような文章。
傑作である。