ガラスの大エレベーター (ロアルド・ダールコレクション 5)
「チョコレート工場の秘密」の続編のようなので、チョコレート工場を読んでからの方がよいと思います。
「チョコレート工場の秘密」が面白いと感じた方は、ガラスの大エレベータも面白いと思割れます。
チョコレート工場の秘密を読んでよくうわからなかった方は、映画「チャーリーとチョコレート工場」を見てから読んだ方がよいかもしれません。
この作品群が、家族愛がテーマだとわかったのは映画を見てからでした。
ダールの作品は、窓ふき会社、マチルダは、とても分かりやすいです。
それ以外の作品は、ダールの皮肉についていけないと、落ちこぼれてしまうかもしれません。
あるいは、大人の目線で読むと、読み誤る可能性があるのかもしれません。
すぐに分からない場合でも、いろいろ読んでいくと、あるときはっと気がつくのがダールの作品の特徴かもしれません。
宇宙エレベーターの物理学
宇宙エレベーター建造に当たっての問題点に始まり,建造できたとして,それに上ってみるとどんな体験ができるのか,宇宙エレベーターツアーという形で話が進んでいく。話が進むといっても物語ではない。エレベーターの建造,運用にあたって,必要になる物理の問題を解いていくのだ。
問題を解くにあたっては,基本的な考え方と,方程式の変形・計算過程を丁寧に解説している。微積分の基本的な知識があれば理解できるはずなので,理工系の学生ならばそれほど悩まずに読めるはずだ。
私は化学系の技術者なのだが,学生時代は物理があまり好きではなかった。教え方のうまい先生に恵まれなかったということもあるのだが,使途不明の方程式をただ暗記させられる授業が嫌いだった。その方程式が,この本には具体的な使用方法と共に多数掲載されている。
学生時代にはいやいや覚えさせられた方程式が持つ意味を,今更ながら理解できた。1度読み終わって,すぐさまもう1度通して読み返した。実に楽しかった。学生時代にこんなに楽しく勉強できれば,物理も嫌いにならなかったかも知れない。理工系の学生には,副読本としてぜひ読んで欲しい。
楽園の泉 (ハヤカワ文庫SF)
どうして今まで読まなかったんだろう、という気にさせてくれる素晴らしいSFです。
小説としては、伏線の張り方がヘタクソで活かしきれていないため、唐突に話が展開するように思わせてしまう点や、時間の流れが分かりにくいなど欠点が目に付きます。
しかし、SFとしては、そんなことはどうでも良いのです。
爆発から非難する際に食料品その他ではなく書きかけの論文を持ち出す学生、救助隊に話を聞きたいと言われれば「そんな暇は無い」とたった一つ持ち出せた機材を使って観測を続ける教授、その教授が命がけで助けに来た人にもてなしも出来ないがといって椅子代わりにその機材が入っていた箱を提供するさりげない姿は常識的な観点からおかしいかもしれませんが、科学への真摯な思いを訴えかけてきます。
宇宙に届くエレベーターを作りたい、作るというそれだけといえばそれだけの物語ですが、まだ見ぬものへの憧れや挑戦が好きな人であれば、多いな共感を持って読むことが出来るでしょう。