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森川すいめい 漂流老人ホームレス社会 (朝日文庫)

何年か前、派遣切りが横行して、行き場をなくした人達が急増しました。あの頃からすると、路上で生活する人達は今は減ったように見えますが、実はこの人達は、より見えにくい所に追いやられているということがよくわかります。著者のグループは、相談窓口に行くこともできない人たちに対して、能動的な支援を根気づよく継続されています。そのご奮闘・ご苦労には胸が熱くなり、頭が下がります。2点だけ気になることがありました。(1) 支援の手段として、病院に引き受けてもらう、障害者手帳を取らせるなどが挙げられています。「こんな医療費の使われ方は間違っている」(p138)と著者ご自身も述べられています。窮余の策なのはよくわかりますが、医療機関の負担をさらに増大させ、早晩破綻するだろうなと、暗い気持ちになりますね。(2) 文章がやや読みづらい。「その背景にある制度としての課題が、申請をさせなかった結果を生み出したと考えるのが自然かも知れない。」(p77)「そうした患者の処方を減らす助言をしただけで、一体どれだけの穏やかに過ごせるようになった現実を目の当たりにしたことかと思う。」(p102)「しかし本当の希望であることは、私たちが何か特別なことをして、特別な技や知識で、誰にもまねのできない奇跡を起こしているのではなかったことである。」(p208)一文一文はさほどでもないのですが、これが前後に続くと、スッとは入ってきにくいですね。せっかくのいい本の価値を半減させているように思います。これは編集者の問題でしょうね。著者は文筆家ではなく、実践の人です。文章は多分苦手なのでしょう。そういう方々の文章を世に通用させるのが、編集さんの腕ではないでしょうか。朝日の編集さん、是非いい仕事をしてくださいよ。文章が気になったので、星をひとつ減らしました。 漂流老人ホームレス社会 (朝日文庫) 関連情報



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