第38作 男はつらいよ 知床慕情 HDリマスター版 [DVD]
今般発売された「キネマ旬報」の寅さん特集でも表記されていたが、この38作はシリーズ全体の中でも傑作の1本に数えられている。何しろ冒頭に「夢」のシーンがなく、寅さんのさくらへの思いのナレーションから入る作り方からして、山田洋次監督はここに集大成を持ってきたかったのではないかと思う。なぜか?それは早川雪洲に次ぐ世界の名優・三船敏郎をゲストに迎えたからだろう。ヒロインは竹下景子だが(当時は本当に可愛かった!)、どちらかというと主軸は三船と淡路景子の老いらくの恋に置かれている。要は寅さんが脇に回っているのだ。「野良犬」では対峙する関係だった二人が40年経って魅せる「恋愛感情」の演技は極上である。特にバーベキューのシーンでの三船の告白シーンは邦画史に残る名場面となった。舞台となる知床の情景も素晴らしく、シリーズものという要素を外しても邦画史に輝く大傑作だと思う。黒澤映画の三船も良いが、自分は三船のベストアクトとして本作を挙げたい。大好きな作品である。
香港パラダイス [VHS]
新米添乗員の湯川真美子(斉藤由貴)はパリ添乗を希望したが、当てが外れて香港行きを命じられてしまう。ちょうど同じ頃、日本では、美術館から宝石をちりばめたチェスのキングとクイーンの駒が盗まれていた。
香港に到着した真美子は窃盗犯と、窃盗犯を追う謎の男大石(小林薫)、さらに盗難品横取りを狙う一味の争いに巻き込まれてしまう。逃げ回るうち、奇術ショーの会場に迷い込んだ真美子は催眠術で記憶喪失となってしまい・・・・。
中国返還前の香港と日本を舞台にしたコメディー作品であるが、返還前の香港は、中国の中の外国であり、「香港映画」という独自のジャンルが確立されていた。香港で制作された映画は今でもあるが、中国政府の統制や人材流出もあってか、質・量ともかなりパワーダウンし、今や日本では韓国映画にお株を奪われてしまった感がある。作品は邦画でありながら昔の香港映画のドタバタテイストを持った不思議な作品である。
敵か味方かよくわからない3つどもえ、警察も巻き込んでの4つどもえの追跡劇が際限なく繰り返され、西部警察なみの大げさなアクションもあり、どこまでも香港映画風である。
バブル期に制作されたため、懐かしい顔ぶれがちょい役で出演しているだけでなく、ヒロインの斉藤由貴ちゃんのチャイナドレスあり、ボディコンありとファンを楽しませてくれる。海に落ちたり、温泉にはまったりと、いつもながら演技に対する真摯な態度(?)に感心させられる。メイクが異常に濃いのはバブル期だからではなく・・・・以下略(苦笑)。
なお、本作品はDVD化されておらず、入手困難が惜しまれる。
第41作 男はつらいよ 寅次郎心の旅路 HDリマスター版 [DVD]
仕事でウィーンに行くことが多く、お客様に見てもらおうと購入しました。
明るく楽しく、時には感傷的に。
寅さんは日本の心ですね。
寅さんにかかれば
牧師さんは和尚さん、ウィーン名物はお茶漬け、、、。
でも
「このドナウ川の水もずーっと旅をして、海へ流れ着き、おれの家の近くの
江戸川の水になるんだね。」
このセリフに旅の、そして人生のすべてが凝縮されています。
シリングとか、オーストリア航空の直行便がない時代、なつかしく思いました。